煽られないために…自分を守る5個のコツ

ここ数年、煽り運転のニュースが連日のように報じられていますね。
でも一向に減る気配を見せません。

煽り運転の厳罰化もある程度は抑止力になるとは思いますが、まずは自分でできる自衛手段をとることが大事です。
そこで、誰でもちょっとしたことで煽られにくくするコツを5つ紹介します。

最近の煽り運転に関するニュースについて思うこと

なぜこんな記事を書こうと思ったかというと、煽り運転のニュースを見るたびに「なんで煽られない努力をしていないんだろう?」と疑問に思うことが多いからです。
中には意味もなく目について車を煽るという異常なケースもあり得るとは思いますが、そんなケースは殆どないでしょう。

少しの気遣いをするだけでお互いに気持ちよく運転できるならその方がみんな幸せです。
煽る側も煽られる側もそうです。そもそも煽り運転自体が減ることにつながります。

煽られないためのコツ

では、さっそくまとめていきます。

追越車線を走り続けない

一番気を付けたいのは「追越車線を走り続けない」ことです。
当たり前ですけど、できていない車は非常に多いです。

走行車線と同じくらいの速度でいつまでも走り続けてしまったことがある方は要注意です。
煽られる可能性が最大限に高いです。

煽る車は往々にして速度が高いので、車線を塞ぐ車を特に嫌います。

「私は制限速度を守っているから!」そんな気持ちで追越車線を意地でも譲らない考えの方も残念ながら多いのが現状です。SNS では必ずこの主張が出ます。
法的にはある意味では正解でしょうが、煽られないためには大失敗です。
煽る車には制限速度は関係なくその車が「走りたい速度で走れないことに」に腹を立てるのですから車線を譲るのが得策でしょう。

ちなみにですが、追越車線を走り続けるのは「通行帯違反」という違反行為です。道路交通法第二十条に定められています。
過去の判例ではおおよそ2km以上にわたって追越車線を走り続けることが違反です。
(走行車線が渋滞していて “安全に” 走行車線へ戻れない場合を除く)

(車両通行帯)

第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。

3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項)

そうです。制限速度は守ったかもしれませんが車線を塞ぐあなたも十分に違反をしています。
周囲に迷惑をかけず追い越しできない状況 (加速できない、車線変更が苦手、など) では追越車線に出るべきではなりません。

特に注意したいのは軽自動車やエコカー、ミニバン、トラックなどの加速が悪い車で追い越す場合は走行車線で十分に加速して追い越しが完了したら直ちに走行車線に戻るように心がけて下さい。
追越車線に車線変更してから加速し始めるとどうしても追い越すまでに時間と距離が掛かってしまい、運が悪いと後ろから煽る車が来てしまいます。
※加速がそこまで悪くない車もありますが、一般的に。

追い付かれたら速やかに車線を譲る

追越車線を走り続けるに関連しますが、順調に追い越ししていても後ろからあたなよりも更に速い車が近付いてきたらできるだけ早く車線を譲りましょう。
やはり煽る車から見れば車線を塞いでいることになるので例え速度が十分に出ていても追い付かれたら車線を譲るとスマートな運転ですよね。

こちらについても実は道交法で規定があります。それが道路交通法二十七条です。

(他の車両に追いつかれた車両の義務)

第二十七条 車両(道路運送法第9条第1項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第5条第1項第3号 に規定する路線定期運行又は同法第3条第2号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第22条第1項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第18条第1項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

やはり、譲らないのは違反になります。
速度超過の車に追い付かれた場合については特に書かれていないところもポイントです。
この法律を愚直に読むなら追い付かれた車両は速度に関係なく道を譲る必要があります。

※過去の判例では議論の余地はあるとしながらも速度超過の場合は譲る必要がないというような判断があります。

法的にどうのこうのということはやはり煽り運転では関係ないので速い車が見えたらその時点から譲るタイミングを見定めて先に行ってもらうことが自衛になります。
違反かどうかを判断するのはあなたではなく警察の仕事です。
そういう車はそのうち覆面なりオービスなりで捕まります。ほっときましょう。

優先道路に無理して侵入しない

優先道路を走っていると脇道から出てきた車によってブレーキを踏まさせられることがあります。
出てきた後にすぐに加速して速度回復してくれればまだマシですが、ゆっくりと加速する (若しくは殆ど加速しない) 車もいます。

これもかなり後ろの車にストレスを与えるので十分な車間がない場合に無理して割り込むことはやめましょう。
煽り運転もそうですが、それ以前に危険です。

道交法的にも優先道路の車にブレーキを踏ませるタイミングで進入する行為は黒よりのグレーです。
該当するのは道路交通法第三十六条になります。

(交差点における他の車両等との関係等)

第三十六条
第1項 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
・第1号 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
・第2号 路面電車である場合 交差道路を左方から進行してくる路面電車

第2項 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

第3項 車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。

第4項 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

第2項のこの一文「優先道路 (中略) の車両等の進行妨害をしてはならない」ブレーキを踏ませる行為は進行妨害ととられても仕方ないです。
余裕をもって進入して、追い付かれる前に十分な速度まで加速しましょう。
やはりここでも加速の悪い車は特に注意しないと煽る車と遭遇する可能性が高いです。

優先道路への進入以外にも車線変更のタイミングが悪いと同様に後ろの車にストレスを与え、煽られる原因を作ってしまうことがあります。
少し前に Twitter で話題になったこのような車線変更 (というか割込) は危険ですし絶対にやめましょう。

前の車との車間を十分にとる

ちょっと不思議に思うかもしれませんが、前の車を煽らないということです。
煽った結果、逆に煽られるということもあるらしいので十分な車間距離を維持しましょう。

煽るつもりはなくても車間を詰める車は多いですし、ハイビームに気づかない人 (某副町長とか) もいるので気を付けて下さい。
煽られたことがある方はわかると思いますが、煽られるのは気持ちのいいものではありません。
そのことに腹を立てて煽るなんて心に余裕なさすぎだとは思いますけど人それぞれですから。

ちなみに私も住宅地などの見通しの悪い道で良く煽られます。後続車に気をもむよりも人が飛び出してこないかに注意したいのに……。
かなり嫌な気持ちになりますが、腹を立てるだけ無駄なのですぐに違う道にそれる時以外はさっさと譲ります。(道交法的にも譲る義務あり)

ドラレコ搭載のステッカーを貼る、かわいいぬいぐるなどを後部座席に置かない

最後は視覚的な対策です。

やはり抑止力としてドラレコを搭載していると煽る側もこれだけニュースになり社会問題になっているので思い直すこともあるでしょう。
分かりやすいステッカーなどをリアガラスなどの見やすい位置に貼っておくと良いでしょう。

遠くからでも見やすい大きく反射するものがオススメです。
実際にドラレコを搭載しているかは遠目では分からないのでステッカーだけでも抑止力はあると思います。
(実際にやられたらドラレコは必須ですが)

10cm四方

12.2cm四方

15cm四方

また、煽る人間も抵抗しそうもない車や人を選んでいるという話を聞いたことがあるので、後続車から見える後部座席のヘッドレストの後ろなどにぬいぐるみやかわいい小物を置くことは控えた方がいいかもしれません。
高速道路での煽り運転が圧倒的に多いので高速に載る際だけでも隠しておくと確率が下がるのではないでしょうか。

煽っちゃう癖がある人は心の余裕を

煽ってしまう癖がある人、いると思います。
特にいい車なら尚のことです、分かりますよ。

でも折角いい車をお持ちなら心にも余裕を持ってみては如何でしょうか?
煽られる車は自分勝手な運転をして周りに気を配るほどの余裕のない人だと思ってみれば優しい気持ちにもなれます。
煽ったとしても後ろを見る余裕なんてないんです。可哀そうでしょう?

それに貴方の高性能な車ならいつでも車線が空けばスッと前に出られます。
迷惑な車は無視するのが一番ですよ。
貴方の高性能な車より低性能な車で必死に走っているのはかわいいです。そう思いましょう。

それに、スピードを出そうと思えば出せるのに余裕のある紳士的な運転は傍からみてカッコイイです。
心にも懐にも余裕がある貴方が素敵です。

軽自動車などの加速が悪い車は追い越しは特に注意を!

軽自動車は加速が悪いというのは皆さんご存じかと思います。自動車の規格のために仕方なく馬力が抑えられ仕方ありません。
ではどの程度悪いのでしょうか?計算してます。

アクセル全開で加速すれば致命的なほど悪くはないので追い越しの際は頑張ってもらいましょう(笑)
これも煽られないために必要な配慮です。

仮定する状況は80m/hから120km/hまで加速するために必要な距離

新東名高速道路の一部区間は制限速度が 120km/h となっています。
この区間で走行車線を 80km/h で走っていた時、前を走るトラックを追い越そうと 120km/h まで加速して追い越すとします。

さて、どれだけの加速距離が必要なんでしょうか?想像つきますか?
私は付きません(笑)

仮定する性能は馬力規制の上限64馬力、サイズは上限ギリギリ

仮定する軽自動車は現在の規格上限とします。
サイズはもっと小さい場合もありますが、最近は居住性を重視するあまり規格のサイズギリギリまで大きくしています。走行性能としては不利です。

すると以下のようになります。
・馬力:64馬力
・サイズ:W1.48m × H2.00m

ここで空気抵抗を計算するための Cd 値というものが必要なのですが、仮定の車両なのでデータがありません。
この値は小さいほど空気抵抗が小さいです。

プリウスが 0.24 と非常に優秀な値でアルファードのように形状が悪いと 0.33 と大きな値です。
軽自動車はさらに形状が悪いので 0.35 と仮定して進めます。

車重はどうでしょう。おおよそ 900kg 程度にガソリンや荷物、運転手を合わせて軽く見積もって 1,000kg で計算します。

この条件で計算すると軽自動車としては高性能な部類になります。
スポーツタイプじゃない軽自動車だとこの計算結果よりも良くなることはないといえます。

必要な計算式

計算に使う式をまとめます。

$$
空気抵抗D[N] = \frac{1}{2} \rho V^2 S Cd
\hspace{32px}
\rho:空気の密度[kg/m^3], V:速度[m/s], S:全面投影面積[m^2], Cd:Cd値
$$
$$
\frac{P}{V} – D = a \cdot m
\hspace{32px}
a:加速度[m/s^2], m:質量[kg]
$$

では計算してみよう!

正確に出す必要はないので数値計算で近似値を計算していきます。
計算用の EXCEL シートはこちらです。

計算するとおよそ9.7秒後に 120km/h まで加速することが分かります。
その間に進んだ距離は約 280m です。

この計算ではアクセルは全開で64馬力全てがタイヤに伝わった場合ですので実際にはもっと距離が必要になります。
(もちろんエアコンも OFF です)

※アクセル全開ではなく40馬力程度で加速した場合は加速するだけで 700m も必要になります。追い越すときはアクセル全開にしましょう(笑)

更に追い越す車の前後に最低でも 120m ずつは車間距離が必要ですので、120km と 80km の差分 40km/h で追い越す間に約 720m の走行距離が必要です。
加速と合わせて最低でも 1km くらいは一台の追い越しでも必要ということです。

これが280馬力のスポーツカーだと加速が 50 ~ 100m と短くなるのでその分余裕が生まれます。
それでも速度差で 240m 追い越すには同じだけ 720m 必要なことは変わりませんのでそのことを忘れてはいけません。
(追い越しの目安は 2km 以内です)

まとめ

以上、煽られないための処方箋5つでした。

  • 追越車線を走り続けない
  • 追い付かれたら速やかに車線を譲る
  • 優先道路に無理して侵入しない
  • 前の車との車間を十分にとる
  • ドラレコ搭載のステッカーを貼る、かわいいぬいぐるなどを後部座席に置かない

どれも簡単なことですからぜひ今この記事を読んだ瞬間から気を付けてみましょう。
中には道交法的にも違反になり得る注意したい運転もあるので煽る側だけでなく自分も気を付けて、お互いにスムーズな運転をするように気を遣いたいところです。

車の性能も少なからず関係する可能性もあるのでそのことを考慮した運転で煽られるリスクを最小限にして運転を楽しみましょう!

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