カレントミラー回路の使い方などをまとめます

カレントミラー回路、名前の通り電流を鏡に映すようにコピーする回路です。

今回はその使い方など、基本的なことをまとめていきます。


カレントミラーの基本回路

まずは動作原理となる回路を見ていきましょう。

原理的には特性が全く同じトランジスタを2つ用意して、ベースを共通化することで両トランジスタに流れるエミッタ電流が同じになるようにします。

この時、電流増幅率hfeが十分に大きければベース電流は無視することができるのでコレクタ電流も同じとみなすことができます。
従って、原理回路では電流源I1と負荷抵抗RLに流れる電流値は等しくなります。

但し、原理回路ではトランジスタの特性が少しでもズレたりトランジスタの温度に不均一があると電流値がかなり異なってしまうのでエミッタに抵抗を入れてやります。

コレクタ電流が流れている時はベース・エミッタ間電圧は電流値に依らず殆ど一定の0.5~0.7V程度で安定するのでエミッタ抵抗に発生する電圧降下がベース・エミッタ間電圧よりも十分に高ければトランジスタの特性に多少差があっても殆ど等しい電流を得ることができます。
逆にこの抵抗値を変えることで電流比を変えて増やしたり減らしたりすることもできます。

カレントミラーの精度次第でエミッタ抵抗に発生させる電圧を変えて下さい。
数%程度の精度で良いなら1V程度で良いでしょう。
(抵抗の公差は無視しています)

電源電圧と負荷抵抗が変わった時の動作

基準となる電流源を1mAに固定して、電源電圧と負荷抵抗を変化させてシミュレーションしました。

電源電圧や負荷抵抗が変わっても殆ど影響なく電流値をコピー出来ています。

ベース電流による誤差を抑えたい場合

エミッタ抵抗でエミッタ電流を殆ど同じ程度までそろえてもベース電流による誤差が残るので、このベース電流をなくす方法を紹介します。
それは接合型トランジスタだっとところをMOS-FETに変えるだけです。

見事にベース電流の影響 (とアーリー効果の影響) が消えて入出力の電流がぴったり一致します。

但し、MOS-FETは接合型トランジスタ (BJT) に比べてバラツキが大きく、MOS-FETを個別に2個で組むことは現実的ではありません。
なのでMOS-FETで組む場合は必ずIC内部か1パッケージに2個入りのMOS-FET (1つのチップに2つのMOS-FETが作り込まれているもの、2チップはダメです) を選ぶようにして下さい。
こうすれば温度による差も減らせますし特性も良く揃います。

精度はそれほど必要ない、という時はBJTの方が無難です。

電源電圧が大きく変化する場合にアーリー効果をキャンセルする

電源電圧が大きく変動してしまうような環境や電流が大きく変化する場合など、トランジスタ (Q2) に掛かる電圧が大きく変化するとアーリー効果によって精度が落ちます。

BJTを使った回路で電源電圧によって差が生じるのは主にこのアーリー効果に依ります。

これをキャンセルする為に制御用のトランジスタ (Q2) のコレクタ電圧が殆ど一定になるようにトランジスタを1つ追加します。
追加することにより電源電圧や電流値依らずQ2のコレクタ・エミッタ間電圧が変わらずに精度が上がります。

但し、電流増幅率が低いトランジスタだとベース電流の分が誤差になるのでhrefが大きいトランジスタを選ぶようにして下さい。

まとめ

以上、カレントミラーの基本形についてまとめました。

カレントミラーは電流をコピーするだけでなく、電流源としての利用、電位差がある回路間での信号の伝達、レベルシフトなど色々応用できるのでアナログ回路をやる方は是非覚えて下さいね。

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