リモートワーク環境でのセキュリティ対策に、不安を感じているフリーランスやテレワーカーは少なくありません。通信セキュリティを強化できるVPNは、セキュリティ対策の有効な手段のひとつとして注目されています。
今回の記事では、VPNの基本的な仕組み・メリット・注意点・サービス選びのポイントをわかりやすくまとめました。
本記事を読めば、VPNのメリットを最大限に活かしながら、より安全で効率的なリモートワーク環境を構築できます。VPNで情報セキュリティを強化し、顧客の重要データを守りつつ、より快適な作業環境を手に入れましょう。
VPNの仕組みとは
VPN (Virtual Private Network) はインターネット上に仮想的な専用回線を設け、セキュアな通信を実現する技術です。
VPNを利用すればインターネット上の通信が暗号化され、第三者からの盗聴や不正アクセスを防げます。
VPNで使用されている4つの技術を、以下の表にまとめました。
技術名 | 概要 |
---|---|
トンネリング | 送信者と受信者の間に仮想的なトンネルを作り、通信内容を外部から見えない形で保護する |
カプセル化 | データを別のプロトコルで包み込み、内容が外部からわからないようにする |
認証 | 通信相手が正しいユーザーであることを確認し、不正アクセスやデータ改ざんを防ぐ |
暗号化 | データを暗号化して保護し、盗まれても解読されないようにする |
情報漏えいとセキュリティが課題として取り上げられる現在、リモートワーク環境にVPNは広く利用されています。
なお、VPNでは以下のプロトコルが主に使用されています。
プロトコル | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
IPsec | 高いセキュリティを提供するプロトコルで、インターネットVPNで広く利用されている | ネットワーク層で動作し、データの暗号化と認証を行う |
OpenVPN | オープンソースのプロトコルで、高度なセキュリティと柔軟な設定が可能 | 多くのプラットフォームで利用でき、ファイアウォールを回避する能力もある |
L2TP/IPsec | L2TPは暗号化機能を持たないため、IPsecと組み合わせて使用 | データリンク層でのトンネリングとネットワーク層での暗号化が可能 |
PPTP | マイクロソフトが開発したプロトコル | 設定が簡単だが、セキュリティ面で脆弱性が指摘されている |
IKEv2/IPsec | モバイルデバイスでの安定した接続を提供 | ネットワーク間の切り替えがスムーズに行える |
WireGuard | 最近注目されているプロトコルで、シンプルな設計と高速な接続を特徴 | 多くのVPNプロバイダが採用を始めている |
なお、日本語対応の代表的なVPNプロバイダ「NordVPN」ではOpenVPNやIKEv2/IPSec以外に、以下の独自プロトコルに対応しています。
プロトコル | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
NordLynx | WireGuardを基にしたプロトコルで、NordVPNが提供する最新のプロトコル | 高速な接続を提供し、特にゲームやストリーミングに適している |
リモートワークでVPNを活用するメリット
リモートワークでVPNを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 通信セキュリティを強化できる
- マルウェアからデバイスの保護が可能
- モバイルデバイスで使える
- 外出先から自宅のパソコンに接続できる
VPNを活用するメリットを把握し、セキュリティリスクを最小化して安全で快適なリモートワーク環境を構築しましょう。
通信セキュリティを強化できる
リモートワークにおいてVPNを活用すると、通信セキュリティを強化して情報漏えいリスクを最小化できます。
セキュリティが脆弱なフリーWi-Fiが一部に存在し、外出先で作業を行うときに危険にさらされる可能性があります。
しかし、VPNを利用すればデータを暗号化して送受信できるため、第三者による通信内容の盗聴や改ざんは困難です。
外出先でフリーWi-Fiを利用する機会の多いリモートワーカーは、VPNによって高い通信セキュリティを実現しましょう。
マルウェアからデバイスの保護が可能
VPNは通信経路を暗号化し、外部からの不正アクセスやデータの盗聴を防いで、マルウェアが侵入するリスクを低減します。
ただし、VPN自体にはウイルスやマルウェアを検知・除去する機能はないため、セキュリティソフトの導入が必要です。
しかし、一部のVPNサービスでは、マルウェアからデバイスを保護する機能を提供しているケースもあります。
より高度なセキュリティでデバイスを保護したいなら、VPNの導入は検討する価値があります。
モバイルデバイスで使える
VPNはパソコンのほかにモバイルデバイスでも利用できるため、スマートフォンやタブレットの通信セキュリティも強化できます。
モバイルデバイスはフリーWi-Fiに接続する機会が多く、セキュリティが必ずしも万全とはいえません。
しかし、VPNを導入すれば通信データが暗号化されるため、個人情報・メール・顧客の重要データなどの保護が可能です。
多くのVPNサービスが対応しているOSやブラウザは、以下のとおりです。
- Windows
- macOS
- Linux
- Android
- iOS
- Chrome
- Firefox
- Edge
外出先から自宅のパソコンに接続できる
一部のVPNサービスを活用すれば、外出先から自宅のパソコンにシームレスに接続できる機能を利用できます。
たとえば、NordVPNの「メッシュネットワーク」機能を利用すれば、異なる場所にある複数のデバイスを使えます。
具体的には、外出先から以下のような作業が可能です。
- 自宅に置き忘れたファイルをダウンロード
- 自宅のパソコンデータを、スマートフォンで表示して確認
外出先と自宅でのシームレスなファイル共有やリモート操作により、リモートワークの効率が向上します。
リモートワークでのVPN導入時の注意点
リモートワークでのVPN導入時の注意点は、以下のとおりです。
- 通信速度が低下する可能性がある
- 無料VPNの利用は避けるのが推奨される
- VPNの利用にはコストがかかる
あらかじめ注意点を十分に把握し、トラブルを回避してスムーズにリモートワークでVPNを導入しましょう。
通信速度が低下する可能性がある
リモートワークでVPNを導入するとき、多くの場合は通信速度の低下が避けられません。
VPNを使用するとデータが暗号化されてパケット量が増えるのが、通信速度低下の大きな理由のひとつです。
くわえて、VPNサーバーにアクセスが集中すると処理が遅くなり、通信速度の低下を招くケースも珍しくありません。
通信速度の低下を避けるためには、「サーバー数が多い」「高品質なVPNサーバーを提供している」などが条件となります。
そのため、VPNサービスを選ぶときは、「口コミで通信速度を確認」「返金保証を利用する」「第三者機関による検証をチェック」などの対策が有効です。
無料VPNの利用は避けるのが推奨される
リモートワークでVPNを導入する場合、セキュリティ面で多くのリスクを抱えている無料VPNは可能な限り避けましょう。
無料VPNは運営コストを広告以外にユーザーデータの販売で賄っている場合が多く、個人情報が漏えいするリスクがあります。
また、カリフォルニア大学の研究チームの調査によれば、38%の無料VPNアプリにマルウェアが含まれているとのことでした。
さらに、無料VPNアプリの75%がユーザーのデバイスを追跡し、82%が個人情報など重要データへのアクセス権限を要求しています。
無料VPNアプリの18%が、そもそも暗号化されていない通信を行っていたという報告もされています。
もし無料でVPNを試してみたい場合は、有料VPNを提供しているプロバイダの無料VPNを利用するのがおすすめです。
参考:Vern Paxson「An Analysis of the Privacy and Security Risks of Android VPN Permission-enabled Apps」
VPNの利用にはコストがかかる
有料VPNをリモートワークで導入する場合、利用にかかるコストを把握しておくのが大切です。
VPNサービスの月額料金相場は数百円~2,000円程度ですが、年間ではそれなりの金額になるため十分に検討しましょう。
なお、多くのVPNサービスは1年~2年の長期契約で大幅な割引を行っており、くわえて返金保証も提供しています。
ただし、1年~2年の長期契約をする場合、ほとんどのVPNサービスでは最初に一括払いが求められますので注意してください。
一般的に返金保証サービスは30日間ですので、導入するときはまず1か月だけ利用して使い勝手を試してみましょう。
リモートワークでVPNサービスを選ぶときのポイント
リモートワークでVPNサービスを選ぶときのポイントは、以下のとおりです。
- 通信速度
- 同時接続台数
- コストと機能のバランス
VPNサービスを選ぶポイントを押さえて、セキュアで快適なリモートワーク環境を手に入れましょう。
通信速度
リモートワークでVPNサービスを選ぶときに、作業効率を左右する通信速度はたいへん重要なポイントです。
通信速度の速いVPNサービスなら、「大容量ファイルのダウンロード」「クラウドサービスの利用」なども快適に行えます。
一方、通信速度が遅いと作業効率が低下し、リモートワーク中にストレスを感じやすくなります。
通信速度を確認するためには、口コミ・評判をチェックするとともに、返金保証を活用して実際に利用するのがもっともおすすめです。
同時接続台数
ノートパソコン・デスクトップパソコン・スマートフォン・タブレットなど複数デバイスがあるなら、同時接続台数も確認しましょう。
同時接続台数が少ないと複数のデバイスを同時に保護できず、切り替え作業が発生するため効率がよくありません。
もし同時接続台数が多くて使い切れない場合、家族や友人と契約をシェアするといった活用方法も可能です。
なお、VPNサービスを選ぶときは、同時接続台数10台以上を目安にするのがおすすめです。
コストと機能のバランス
単に安価なVPNサービスを選ぶのではなく、コストと機能のトータルバランスを考慮するのが大切です。
安価なVPNはセキュリティ・通信速度・サポート体制などが不十分である可能性があり、注意が必要です。
たとえば、多くの人に高い評価を受けているNordVPNでは、以下のような機能が提供されています。
機能名 | 概要 |
---|---|
パスワードマネージャー | パスワードの安全な保存と自動入力機能を提供し、複数デバイス間で簡単に管理可能 |
クラウドストレージ | クラウドでファイルの安全な保存と共有が可能 |
複数のデバイス間接続 | 複数デバイスを接続し、ファイル共有やリモートアクセスが可能 |
情報漏えい検知 | インターネット・ダークウェブで個人情報の流出を監視 |
プライバシー強化 | Torネットワークと連携し、匿名性を強化 |
また、一部のVPNサービスでは複数年契約による割引を提供しているため、長期的なコスト削減も視野に入れましょう。
リモートワークでのVPN利用に関するよくある質問
リモートワークでのVPN利用に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- VPNの接続方法は?初心者には難しい?
- リモートワークにおすすめのVPNサービスは?
- VPN以外にデータを保護する方法は?
- VPNがつながらないときの対処法は?
あらかじめ疑問や不安を解消しておき、リモートワークにVPNを導入してセキュアな通信環境を実現しましょう。
VPNの接続方法は?初心者には難しい?
VPNの接続は、VPNサービスが提供している専用アプリを使用すれば誰でも簡単に始められます。
アプリを使用すれば複雑な設定は不要で、インストールとサーバーの選択だけで接続が完了します。
リモートワークにおすすめのVPNサービスは?
さまざまなVPNサービスがありますが、通信速度・料金・機能の豊富さ・カスタマーサポートの質でNordVPNが人気です。
NordVPNは、業界トップクラスの通信速度を誇り、リモートワークでもストレスフリーで効率よく作業をこなせます。
また、月額570円から利用できるリーズナブルな料金プランを提供し、コストパフォーマンスに優れています。
VPN以外にデータを保護する方法は?
フォルダにパスワードを設定すれば、サイバー攻撃やランサムウェアから重要なデータを保護できます。
Windows・macOSでフォルダにパスワードを設定する方法は、「MacとWindowsでフォルダにパスワードを設定する方法」を参照してください。
VPNの活用でより快適なリモートワーク環境を構築しよう
VPNはインターネット上に仮想的な専用回線を設けて、暗号化などでセキュアな通信を実現する技術です。
リモートワークでVPNを活用すれば、「通信セキュリティの強化」「マルウェアからの保護」などが可能です。
ただし、通信速度の低下や利用コストがかかるため、無料VPNは避け、返金保証のある有料サービスを選びましょう。
VPNサービスを選ぶときは、通信速度・同時接続台数・コストと機能のバランスを重視するのが大切です。
情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まる現代、VPNの導入で安全かつ快適なリモートワーク環境を整えましょう。
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