オシャレは足元からということで、車のインチアップについて書いていきます。
やはり、適度にホイールが大きくて薄いタイヤだとカッコよく見えますよね。
夏に向けてドライブが楽しくなる時期ですからインチアップでドレスアップは如何でしょうか!?
といわけで、今回はインチアップの利点と注意点をまとめていきます。
インチアップの利点とは?
インチアップには色々と良いことがあります。
まずは、メリットを確認していきましょう。
外観がカッコ良くなる!
まずは、これでしょう!
殆どの方はドレスアップの一環としてインチアップするでしょう。
最近では純正でも17inや18inやそれ以上といったホイールが採用されていることも増えましたが、経済性や乗り心地などを考えてどうしてもタイヤの肉厚は厚いので、やはりインチアップすると足元が締まって見えます。
後ほど書きますが、純正は耐荷重と空気圧の関係で大径化+肉厚になりがちです。
高速走行で安定する
一般的に同じタイヤの銘柄であれば、インチアップしてタイヤ外径を同じにするには低扁平率のタイヤを選ぶことになり、タイヤ自体の “ヨレ” が少なくなるために高速走行などで安定感が増します。
扁平率が高い (55とか60とか) では車線変更で車体が振られることがありますが、タイヤがヨレないのでシャキッとした挙動となります。
同様に交差点やカーブでの安定感も良くなります。
しっかりとサスペンションが仕事していればですが。
時々、インチアップでグリップが上がるということを聞いたり見たりしますが、直接的には関係のない話で、余りに扁平率の低いタイヤにしてしまうと逆にグリップは落ちますのでご注意下さい。
詳しくは後述します。
ブレーキがフェードし難くなる
ブレーキを多用した場合に、フェードしてブレーキ力が低下することになり難くなります。
これはブレーキロータとホイールの隙間が広がることになって空気による冷却効果が期待できるからです。
但し、ディッシュ型などのように空気の流れが悪いと悪化することもあります。
また、より大径のブレーキロータに換装することも可能です。
ハイドロプレーニング現象に陥りにくい
一般的にインチアップすると耐荷重を満たす為に空気圧を上げる必要があります。
すると、ハイドロプレーニング現象になる速度が理論的には上がります。
タイヤに充填された空気圧を P [kgf/cm2] 、ハイドロになる最低速度を V [km/h] とすると以下式で計算されます。
$$
V = 63 \sqrt{P}
$$
※参考文献 – タイヤのハイドロプレーニングについて (中島幸雄)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmf/27/2/27_102/_pdf
純正タイヤの空気圧はおよそ1.9~2.5kgf/cm2程度ですので、2.0kgf/cm2とすれば、89km/h以上の速度ではハイドロプレーニングになる危険性があります。
これが、インチアップすると2.5~3.0kgf/cm2程度になってしまうことが多いので、2.5kgf/cm2とすれば、100km/h以上となり10km/h以上も有利になると考えられます。
但し、タイヤ溝のパターンや深さによって上式よりも高い速度までハイドロプレーニングに陥らないことがあります。
スリップサインが出ていれば上式に近い状態と考えられます。
(上式はタイヤの溝を考慮しない場合です)
しかしながら、これらは理論値なので雨の日はゆっくりと走行しましょう。
燃費が良くなることがある
全ての場合にいえることではないですが、扁平率が低く空気圧が上がるのでタイヤの “たわみ” による走行抵抗が減り、燃費が良くなることがあります。
最近の車が大径化している要因の一つでもあります。
しかし、安物の重いホイールを使ったり幅広のタイヤに交換した場合は重量増やグリップ力の増加で走行抵抗が増して燃費が悪化する場合もあります。
ドレスアップ目的では殆どの場合に該当するのでそういった場合は燃費に悪影響があると思って間違いないです。
インチアップの注意点
次はインチアップする上で注意したい点とデメリットをまとめます。
ちゃんと理解していれば問題ないので頭の片隅に置いておいて下さい。
車高を下げないとカッコ悪く見えがち
時々、純正車高のままでインチアップしている車を見かけます。
個人の自由なので良いのですが、車高が高いままだとタイヤの厚さに対してタイヤとホールハウスの隙間が相対的に広くなり、バランスが悪くなります。
これを解消するには車高を落とすしかありません。
するとお金も掛かりますし、結果的に乗り心地が悪くなる可能性が高いです。
高価な車高調では車高を下げても純正より乗り心地が良いこともあります。
ダウンサスでは殆どの場合、乗り心地が犠牲になります。
※半メーカ純正のSTiなどはむしろ良くなることも。。。
タイヤ代が高価
インチアップすると必然的に扁平率の低いタイヤになるので、高価な場合が多いです。
ましてや幅広となると尚更です。
前述の通り車高を下げないと決まらないので、車高を下げたとします。
すると、一般的なサスペンションではキャンバー角が自動的についてしまうのでタイヤが片減りすることになり、交換頻度も上がります。
キャンバー調整可能な車高調や純正で調整機構があれば片減りしないよう調整することをおススメします。
(できればトーでスリップアングルも調整して下さい)
轍に取られたり、挙動がピーキーになる
インチアップによって低扁平化、空気圧UPでタイヤ剛性が高くなります。
これによるスポーティさの向上と同時にデメリットもあります。
それが轍に取られたり、路面の状況を拾いやすくなります。
当然、乗り心地も悪くなります。
これは剛性が上がったことでタイヤを通して車体に伝達される振幅 (路面の凸凹) などの入力がよりダイレクトになったことに依ります。
良く言えばスポーティに、悪く言えばクッション性が悪くなったということです。
ちょっとした路面の凸凹で急激にグリップを失うこともあるので慣れない方は注意が必要かもしれません。
(純正は敢えてこの応答を遅くして急激なグリップ変化を抑えています)
インチアップする手順と注意点
では最後にインチアップする手順と注意点をまとめます。
ここまでまとめた、メリット・デメリットを良く理解した上でインチアップして下さい。
詳しいことは分からん!という方はタイヤ専門店で相談すれば色々教えてくれますよ。
静岡県掛川市だったら、掛川平和商会さんというお店がおススメです。
①インチアップしたいホイール径を決める
まずは目的のホイール径を決めましょう。
インチアップは2inアップまでに抑えた方が無難です。
それ以上は耐荷重の問題でタイヤ幅がタイヤハウスに収まらない可能性があります。
タイヤ専門店にはタイヤハウス内の余裕がどのくらいあるかの資料などあるので相談しながらが良いと思います。
ここでは、仮に、195 / 55 R15 を17inにインチアップする場合を考えていきます。
②外径が同じ程度になるタイヤ幅と扁平率を探す
次はタイヤ外径が元のサイズと同じ程度になるタイヤを探します。
タイヤ外径が大きく変わってしまうと車検に通らなくなりますので、基本は殆ど同じサイズになるタイヤを選びます。
ここで、タイヤの銘柄によって作っているサイズが決まってしまうので希望の銘柄から探すと良いでしょう。
では先ほどの 195 / 55 R15 を17inにする場合で探してみましょう。
タイヤの銘柄は台湾のFEDERALの “595RS-RR” とします。
(ロードノイズはうるさいですがグリップも高くコスパの良いタイヤです)
まずは 195 / 55 R15 の外径を確認します。
純正指定のタイヤが分かる場合はメーカのWebサイトから確認して下さい。
指定タイヤの銘柄が不明だったり調べるのが面倒な場合は計算して出します。
タイヤのサイズは上画像のように表現されます。
従って、195 / 55 R15 の外径は、195mm × 55% × 2 + 15in × 25.4mm/in = 595.5mm と計算されます。銘柄によって多少の違いはありますが、大体この辺りです。
タイヤ幅 : [mm]
扁平率 : [%]
ホイール径 : [in]
—————————————-
タイヤ直径 : 595.5 [mm]
次に交換後のタイヤを選びます。
メーカのWebサイトにサイズ一覧表などがあるのでそこを確認します。
595RS-RRだと上表がサイズ一覧になります。
17inから探すと “215 / 40 ZR17” が外径=606mm で概ね一致 (+1.8%) します。
±3%以上変わると車検に通らないかもしれないのでできるだけ差がないサイズを探して下さい。
ここで、タイヤ幅が広すぎてタイヤハウスに収まらないことがあるので、事前にどの程度のサイズまで自分の車に収まるのかはよく確認して下さい。
この段階でホイールのオフセットが決まります。
分からない場合は専門店で相談すれば失敗しないでしょう。
また、タイヤ幅は元のサイズよりも広いものを選んで下さい。
幅が狭いタイヤだと空気量が足りなくなり車を支えられないことがあります。
③空気圧を確認する
最後にタイヤに充填すべき空気圧を確認していきます。
この時の基準は “純正タイヤ” での適正空気圧となります。
純正での空気圧は前輪・後輪のタイヤが受ける荷重負荷に耐えるだけの能力をタイヤに持たせる最適な値となっています。
つまり、同じだけの負荷能力になる空気圧を充填すれば良いのです。
では、負荷能力はどこを見れば良いのでしょうか?
それはタイヤのサイズの後ろに書かれている “ロードインデックス” (LI値) という数値と充填する空気圧から規格が決まっています。
普通の規格とXLという高負荷まで耐えられる2つがあるので気を付けて下さい。
(XL規格の方が高い負荷まで耐えられるが、より高圧の空気を充填する必要アリ)
LI値と空気圧の関係は、天下のBRIDGESTONE社のHPにまとめてありましたので、そちらのページを参考にして下さい。
・BRIDGESTONE – 空気圧別負荷能力対応表
ここで、純正サイズの適正空気圧が230kPaだったとします。
195 / 55 R15 85V (最後のVは速度記号) に当てはめると480kgとなります。
次に変更後の FEDERAL 215 / 40 ZR17 を見ると “87W XL” とXL規格であることが分かるのでXLの方で負荷能力が480kg以上となる空気圧を探します。
表から250kPaで485kgになることが分かります。
従って適正空気圧は250kPaになります。
ちなみにですが、XL規格でないタイヤには300kPa以上の空気を充填しないで下さい。
負荷能力を見て300kPa以上にしないといけない場合はサイズの見直しが必要です。
(300kPa以上では最悪、走行中や充填中に破裂します)
まとめ
以上、インチアップによる利点と注意点をまとめました。
インチアップは愛車のドレスアップに欠かすことができないので注意点を十分に頭に入れてタイヤ選定を行って下さいね。
蛇足)私はインチダウンしています
ここまでインチアップの話をしておいてなんですが、私はインチダウンしています(笑)
愛車は レガシィB4 (BL5型) 2.0GT spec.B で、純正は “215 / 45 R18” です。
なぜ、インチダウンしたかというと以下の理由からです。
①純正が “215 / 45 R18” という特殊なサイズだったこと
②タイヤ幅を広くしたかったこと
③レガシィB4の車格に18inは大きすぎること
④タイヤのクッション性が低いこと
まず、純正がほぼこの車種でしか使っていない特殊サイズで高価であったことがあります。
タイヤ幅を広くしたかったこともあり18in以上は経済的に良くありませんでした。
また個人的な感覚ではレガシィに対してはホイールが大きすぎると思います。
更に長距離移動でも同乗者が疲れないことを前提に車種を選んでいたので18inでは路面を拾い過ぎてしまっていたのでインチダウンする選択をしました。
結果的には、”235 / 45 ZR17″ というサイズになりました。
このサイズならタイヤハウスの加工 (爪折りなど) も不要でギリギリ収まります。
インチダウンしてタイヤ幅を広くしたので、かなり乗り心地も良くなりました。
場合によってはインチダウンすることもオススメですよ!
車高もSTiのダウンサスで15mm下げて、ホイールもボディも黒色なので、インチダウンしていますが締まって見えると思います。
参考にして下さい(笑)
(2024/10/24 追記)
インチダウンの実績をまた一つ更新しました!(笑)
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