2023年になってから気合の入った標準単焦点レンズがいくつか発表されました。
そこで既存の標準単焦点レンズを含めて性能を検証しているページや動画などをまとめていきます。
私も昨年、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z) を購入したのですが、高画素機である α7R IV ではどうしても解像性能が低くハマりませんでした……。このレンズを売却して乗り換えを検討しているのでその中から最高の一本を検討します。
もちろん使用シーンや考え方、求める性能には個人差があるのであなたにとっての最高の一本も見つけてください!
エントリーレンズは5本!
エントリーするレンズは FE マウント※対応の以下5本です。発売が古い順で並べています。
※ E マウントのことで、フルサイズ対応レンズを便宜上製品名になぞらえて「FE マウント」と呼んでいる。当然 APS-C カメラでも使用可能。
2023年4月4日現在では、下2本は未発売です。(予約販売)
- SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z)
- Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
- Sigma 50mm F1.4 DG DN | Art
- SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM)
- Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary
※上記はメーカの商品ページへのリンクです。併せてご確認ください。
スペック比較
項目 | SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z) | Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical | Sigma 50mm F1.4 DG DN | Art | SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM) | Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary |
---|---|---|---|---|---|
焦点距離 [mm] | 55 | 50 | 50 | 50 | 50 |
絞り | f/1.8 ~ f/22 | f/2.0 ~ f/16 | f/1.4 ~ f/16 | f/1.4 ~ f/16 | f/2.0 ~ f/22 |
フィルター径 [mm] | 49 | 49 | 72 | 67 | 58 |
絞り羽枚数 [枚] | 9 | 12 | 11 | 11 | 9 |
最短撮影距離 [cm] | 50 | 45 | 45 | 41 (AF)、38 (MF) | 45 |
最大撮影倍率 | 0.14 | 0.15 | 0.15 | 0.16 (AF)、0.18 (MF) | 0.14 |
手振れ補正 | × | × | × | × | × |
サイズ [mm] | φ64.4 × 70.5 | φ62.6 × 61.3 | φ78.2 × 111.5 | φ80.6 × 96 | φ70.0 × 70.0 |
重量 [g] | 281 | 364 | 660 | 516 | 345 |
参考価格 [円] | 103,300 | 105,693 | 123,750 | 186,120 | 89,100 |
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z)
SONY がフルサイズミラーレスを発売したばかりの2013年に発売された銘レンズです。ZEISS の名を冠するレンズで所有欲を満たします。
大きさの割に軽く写りも良いということで、発売から10年経った今でも人気のあるレンズです。
ただ、カスタムボタンや絞りリング、AF/MF の切り替えスイッチなどは何もなく割高感は否めません。10万円前後で、キャッシュバックキャンペーン対象の時期に買っても実質9万円と安くはありません。
以下のページで性能を確認することができます。
全体的な性能はそこそこで可もなく不可もなく、といった感じです。
私が特に注目している解像度は、以下のグラフの通りで α7R IV のような6100万画素で使うにはあまり高くありません。
しかし、α7 IV の3300万画素や α7R III の4200万画素くらいならそれほど気にならないようです。
色々なレビューを見ていると高画素機以外では現代でも十二分な性能として評価されています。
https://www.lenstip.com/483.4-Lens_review-Sony_Carl_Zeiss_Sonnar_T*_FE_55_mm_f_1.8_ZA_Image_resolution.html
こちらの記事も確認すると良いでしょう。
動画でのレビューもあります。
フルサイズは4200万画素でのテストなので、6100万画素相当として見るなら APS-C の結果も良く確認する方が良さそうです。
半年間しか使用していませんが、レビューをまとめたのでこちらもどうぞ。
Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
https://www.cosina.co.jp/voigtlander/e-mount/apo-lanthar-50mm-f2-aspherical/
こちらのレンズはフォクトレンダー史上最高性能の標準レンズとして2019年末に発売されたレンズです。
解像性能や各種収差が光学的に徹底的に排除されています。総金属筐体で造りや操作感も最上級と評判です。
しかしながら、MF レンズと言うことで現代では敬遠されがちかもしれません。価格も11万円ほどと高価です。
以下のページで性能を確認することができます。
AF が無いこと以外は殆ど完璧な性能です。あらゆる収差が光学的に排除されています。
こんな設計が可能なんですね……妥協があってしかるべきだと思っていたので衝撃的です。
特に解像度の測定結果ですが、画面全域で均質に高解像度を維持しています。
フルサイズの6100万画素 (APS-C だと2600万画素相当) では、MTF50 の値がおよそ 70~80lpmm ほどあれば最高の解像度を有すると考えて良いです。(ベイヤー配列の場合)
正確に計算したわけではないですが、f/5.6 という絞り値での解像性能限界はおよそ 80~90lpmm 程度と考えられます。つまりこのレンズは f/2.8~f/5.6 あたりで実質的に光学的な最高性能を持っていると言えそうです。凄い。
参考: http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/6diffractionU_A4.pdf
https://www.lenstip.com/613.4-Lens_review-Voigtlander_Apo_Lanthar_50_mm_f_2_Aspherical_Image_resolution.html
Sony Alpha Blog では、「フレーム全域でバカげた解像度 f/2 から有する」「すべてのテストしたレンズの中で最高の解像度だ※」と言わしめるほどの解像性能を発揮します。
※こちらは後ほど出てくる Sigma 50mm F2 DG DN のレビュー時に Sigma が AF レンズで最高の一つと褒めたあとに付け足してまで言及しています。
こちらも動画のレビューがあります。
個人的にこのレンズで最大の欠点は、インナーフォーカスでないことです。どうしても鏡筒が伸びる見た目が好きではないため気になります。
シーリングがなく、耐候性はないので雨の日は使用しないようにしなければなりません。
Sigma 50mm F1.4 DG DN | Art
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a023_50_14/
2023年に発売された大口径標準レンズです。
かなりの期待を持って迎えられ、比較的安価な価格設定と Art レンズということで大きく重いレンズです。
Amazon には登録が見つからないので検索してみて下さい。見つけたら更新します。追加しました。(2023-05-07)
代わりにマップカメラのリンクを以下に貼っておきます。2023-04-04 現在で123,750円です。
以下のページで性能を確認することができます。
f/2.8 ~ f4.0 あたりまで絞っていくとかなり良く解像するレンズのようです。中央部と同じくらい周辺も解像します。
ピント面の前後のボケが紫や緑に色付いたり、コントラストの高い境界でパープルフリンジが出るようです。これは実写では問題にならない場合が多いとは思いますが、気になる場面もないわけではないので検討段階で問題ないかを確認しておく必要があります。
フルサイズで2400万画素なら 50lpmm 程度の解像性能でセンサー的には十分ですので高画素機や APS-C 機でなければ開放から十分な解像性能と言えそうです。高画素機ではやや絞り込む必要がありそうです。
また、これだけの大きさのレンズで色収差を残していますが、歪曲も強い糸巻き型で残っています。
価格を抑えてボケの良さと f/2.8 以降での解像性能に照準を向けたのかもしれません。このスペックで12万円台ですので高画素機以外では文句の付けようがないと思います。
https://www.lenstip.com/648.4-Lens_review-Sigma_A_50_mm_f_1.4_DG_DN_Image_resolution.html
このレンズも以下のレビューがあります。
6100万画素の高画素機では開放で解像度が甘いことを指摘していますが、絞れば問題ないと評価しています。色収差と歪曲もやや否定的な評価に見えます。
動画では、以下の同時期に発表された SONY FE 50mm F1.4 GM と比較する形で確認できます。
SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM)
https://www.sony.jp/ichigan/products/SEL50F14GM/
ここからは未発売のレンズです。2023年の CP+ 直前に発表された新しい G Master レンズです。
SONY にはすでに開放絞りが f/1.2 の 50mm GM が存在します (SEL50F12GM) が、それを一回り小さく軽くしたようなレンズで、価格も10万円ほど安いと一般人でも手が届かないことはないという絶妙なところを攻めています。
Amazon やマップカメラでは 186,120円となっています。GM なのに手が届かない価格ではないですね!
このレンズは殆どスキのない性能と携行性で、問題は周辺減光がやや大きいくらいです。
小型なので周辺減光は仕方がないと思います。
中央部の解像度は、開放からすでに十分に高く、わずかに絞るだけで6100万画素のセンサー性能を使い切るほどの 90lpmm に達します。(f/2.0~f/2.8)
周辺部は絞りに依らずあまり改善されませんが、60~80lpmm ほども解像するためこのレンズで解像度が不足するとは思えません。
https://www.lenstip.com/645.4-Lens_review-Sony_FE_50_mm_f_1.4_GM_Image_resolution.html
歪曲も極小で各種収差もよく抑えられています。
見た目もカッコいいですし、バランスも純正ならでは良さがあります。
欠点がなく、サイズ、光学性能、ボタン類の搭載など全てにおいて素晴らしいレンズと評価されています。f/1.2 の絞り値が必要だったり f/1.4 などの絞りでレモンボケが許容できない場合にのみ SEL50F12GM が選択肢として挙がってきそうです。
Sigma の 50mm F1.4 と比較する形の動画で性能を確認できます。
Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/c023_50_2/
最後は昨日 (2023-04-03) 発表された Sigma の I シリーズレンズです。
小型軽量が売りの Contemporary ラインの中でも総金属製で見た目にもこだわりの強い I シリーズの逸品です。
総金属製の筐体が非常にかっこよくこの I シリーズで揃えたら見惚れてしまいますね~。
こちらもまだ予約販売の段階なのでマップカメラの価格で確認しています。
89,100円と 50mm 単焦点の f/2 としては高価な値付けではありますが、その筐体の品質 (総金属製の削り出し) や光学性能を考えればもはやバーゲンプライスだと言っても差し支えないでしょう!
こちらはまだレビューが少ないですが、Sony Alpha Blog では、優れた光学性能とレンズの作りの良さを評価しています。
一方で開放では6100万画素での解像度が最高でないことが気になるようです。少し絞ると改善するので一般的な用途では問題ではないように見えますね。
おそらく4200万画素や3300万画素のカメラでは差が分からないレベルなのかな?と予想します。
歪曲については特筆すべきことは無いレベルのようであまり記述がありません。
同じ Sigma の F1.4 Art が非常に大きな歪曲を残していたこととは対照的で、どちらが Art レンズか分かりません。
色収差も Art レンズと同じか少ないくらいに見えますね。素晴らしい光学性能です。
動画でのレビューでは、4200万画素のカメラで評価しており Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical との差が分かりません。
しかし、文字のエッジや近接での解像性能を見ると Voigtländer の方が解像していることがわかります。
私が選んだのは Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
私が選んだ最高の標準レンズは Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical です!
AF が無かったり、フォーカシングで鏡筒が伸び縮みし、シーリングがなく雨の日は使えませんが、やはり最高の解像度を有するレンズということが決め手です。最後まで Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary と悩みました……おそらくこちらでも大きな不満はないと思いますが、まだ発売前で情報が少ないというところも二の足を踏みました。
α7R IV の6100万画素は思いの外、レンズにかなりの性能を要求するものだと SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z) で実感しました。
予算が許すなら間違いない性能だろう SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM) を選ぶと思いますが、SEL55F18Z を下取りに出して差額を払うとなると12万円ほどになるのでさすがに厳しいです。SONY が良くやってる10万円分のお買物券が当たったら買いたいと思います!
Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary も気になっているので、臨時収入があったら買ってみたいなぁと思います。AF のある日常的に気軽に使える標準単焦点ですからね。
どうですか?どなたか私に何かしらのお仕事を10万円くらいでいただければ喜んでお受けしてそれを持って買いに走りますよ!
主に Web 関係の小規模サービスの開発やサイトの構築、一部のコーディングなどをフリーランスとして行っています。お問い合わせフォームか twitter の DM などでご相談ください!パソコンやカメラ、レンズのレビューなどもやりますよ。
他のレンズの方が適している条件
上記の通りで価格と光学性能の高さのバランスから妥協点はありつつも私に最適なレンズを1本選び出しました!
しかし、条件が異なれば選ぶべきレンズは変わってくるのでレンズごとにどんな人に適しているかを列挙します。
項目 | SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z) | Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical | Sigma 50mm F1.4 DG DN | Art | SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM) | Sigma 50mm F2 DG DN | Contemporary |
---|---|---|---|---|---|
光学性能 (2400~3300万画素程度) | 〇 解像度は十分だが、色収差などが大きい | ◎ 欠点が見当たらない | ◎ 欠点が見当たらない | ◎ 欠点が見当たらない | ◎ 欠点が見当たらない |
光学性能 (6100万画素程度) | △ 解像度不足 | ◎ 大きな周辺減光のみ注意 | 〇~◎ 絞り開放での解像度がやや不足する | ◎ 大きな周辺減光のみ注意 | 〇~◎ 絞り開放での解像度がやや不足 |
小型軽量 | 〇 軽いが、やや大きい | △ 小型だが、やや重い | × 大きく重い | × やや大きく重い | △ やや小型だが、やや重い |
コスパ | △ | △ | ◎ | △ | 〇~◎ |
利便性 | △ フォーカスリングのみ、AF は静かで速い、軽い | × AF がない | 〇 ボタン1個、 AF/MF スイッチ、絞りリングあり | ◎ ボタン2個、AF/MF スイッチ、絞りリングあり | △ AF/MF スイッチ、絞りリングあり |
ボケ量 | 〇 | △ | ◎ | ◎ | △ |
SEL55F18Z は、高画素機以外で小型軽量を重視する場合には悪くない選択肢だと思います。ZEISS の刻印が魅力の一つで、写りもその系統の片鱗が見られるように感じます。
APO-LANTHAR 50mm F2 は、不便を承知で光学性能の高さを追求するレンズですね。
Sigma 50mm F1.4 Art は、大きさと重さだけ許容できれば最高の選択肢の一つでしょう。高画素機ではやや物足りない解像性能かもしれませんが、中央から周辺部まで均一な解像性能は頼もしいと思います。
SEL50F14GM は、予算に余裕があれば最初に検討すべきレンズです。このレンズで困ることは携行性がやや悪いことくらいでは?
Sigma 50mm F2 Contemporary は、バランスに優れ、殆どの場合に満足いく結果になるように見えます。これからレビューなどが増えてくるのが楽しみですね!
まとめ
以上、FE マウント (E マウント) に於ける最高の単焦点レンズを検討してみた結果をまとめました。
おそらくですが、多くの人の要望には Sigma の2本のいずれかで満たすことができると感じました!
Sigma のレンズがたくさん使えるところが SONY カメラの強みですね!
レンズを買い換えたらじっくり使ってレビューしていきたいと思います!その際はぜひもう一度お越しください!
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