昨年の9月ごろの値上げのタイミングで SONY ミラーレスの最初期からある SEL55F18Z (Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA) を購入しました。
スペックの割に価格が高いのですが、数々のレビューや発売から10年経った今でも神レンズと呼ばれ人気のレンズで、中でも解像度・コントラストの高さと空気感まで写すと言われる ZEISS Sonnar ブランドにかなり期待をしていました。
ソニーストアで当時92,070円 (ソニーストア共通の10%オフ適応後) という価格設定でした。2023年現在では105,930円 (同) です。
キャッシュバックキャンペーンを考慮してもかなり高価なレンズという印象ですね。
もうすでに手放してしまいましたが、レビューをしたいと思います。
外観とスペック
まずは外観・スペックを確認してみます。
外観・ビルドクオリティ
外観はシンプルです。ボタンやスイッチ、絞りリングなどはありません。シンプルで個人的には好みです。
汚れた時に掃除がしやすいという利点はありますが、10万円ほどの価格帯を考えるとカスタムボタンくらいは欲しかったなと思います。
鏡筒はしっかりしていて、フォーカスリングは滑らかで軽く回ります。この辺りに不満は出ないでしょう。
大きさはやや長めでフードを付けるとかなり大きく感じます。
ただし、重量は軽い (281g) です。レンズ単品だとスカスカに感じるくらいの重さです。金属筐体らしいのですがそれを感じさせません。
ZEISS の青いロゴが目を引き、所有欲を掻き立てる魔力があります。
正面から見るとやはり大きいですね。特に花形フードが本体と同じくらいのインパクトなので必要なければ外した方がすっきりします。
逆光耐性も高いのでどうしても気になる時以外は付けなくても大丈夫だと思います。
最前面のレンズである前玉が凹レンズでやや凹んでいます。多くのレンズが凸レンズの前玉を使っていることもあり特別感があります。
高性能な標準レンズでの採用例も最近では多く (SEL50F12GM、50mm F2 DG DN、APO-LANTHAR 50mm F2、などなど) これを10年前に採用していたのですね。(ミラーレスカメラのようにフランジバックが短くないと難しいらしいという話もあります、実際に後玉はかなりギリギリまで下げられています)
フィルター径が φ49mm と小径なのも経済的です。
APS-C 機の a6300 に装着するとこんな感じになります。フードがあるとズームレンズのような大きさです。
フードを外すと小さな APS-C 機でも案外にバランスが良く、軽いので持ち出す際にも苦にならないと思います。逆さ付けもできます。
ちなみにですが、フードの取り付けは鏡筒の一番外側ではなくその内側に設けられた溝になります。この部分は凹んでいるので掃除が難しいです。
また、レンズキャップを付けたままフードを外すとレンズキャップに当たりやすく、フードと一緒にキャップまで外れてしまうことがありました。外でフードを取り外す時にはレンズキャップを落とさないように注意した方がいいと思います。
スペック
スペックは至って特徴のないエントリー向け標準単焦点レンズと同じようなものです。
参考価格は、2023/4/21現在の Amazon 価格です。
項目 | SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z) |
---|---|
焦点距離 [mm] | 55 |
絞り | f/1.8 ~ f/22 |
フィルター径 [mm] | 49 |
絞り羽枚数 [枚] | 9 |
最短撮影距離 [cm] | 50 |
最大撮影倍率 | 0.14 |
手振れ補正 | × |
サイズ [mm] | φ64.4 × 70.5 |
重量 [g] | 281 |
参考価格 [円] | 101,000 |
実写でのレビュー
では早速、レビューの方に入っていこうと思います。
なんとなく雰囲気が良い写真が撮れる
理由は分かりませんが、なんとなくいい雰囲気が漂う写真が撮れます。
背景のボケが非常に滑らかなためか、光学的な収差の残し方が絶妙な塩梅か、これが ZEISS の魔力というものかと思いました。
このボケや収差の絶妙な具合に惚れ込めば発売から10年経った現代でも買う価値が十二分にあります。
やはり見返してもボケがキレイで開放でも絞っても変わらず素晴らしいですね!
どちらかと言えば、暗い被写体よりも明るい被写体の方が私には好みでした。
色も強く出ますし、肌や空の色もキレイで自然で、(逆光時でもそうでない時も) コントラストが高い写りをするのでそう感じたのかもしれません。
周辺光量は開放付近で大きめに落ち込みます。
自動で補正されますが、補正を無効にしてもいい感じですよ!
絞ると中央部はとてもよく写る
最初に断っておきますが、以下はいずれも6100万画素という高画素機 (a7R IV) の場合の評価です。
4200万画素や3300万画素以下くらいのカメラならもっと評価は高くなると思います。
f/2.8 ~ f/5.6 くらいまで絞ると中央付近の解像度が上がりかなりよく写るようになります。
これはどのレビューサイトでも言われている通りです。(LensTips.com、Sony Alpha Blog、とるなら 写真道楽道中記)
周辺部は絞っても中央ほどは解像しませんが、通常であれば必要十分な解像度を発揮します。
解像度が低いというかコマ収差のような像面湾曲のような影響を受けているように見えます。(点の形状が歪に潰れているような、ピントが合っていないようなそんな印象です)
※現像時にシャープネスを調節してやや改善することもできます。今回はレビューのために Lr のテクスチャ、明瞭度、シャープネスを調節していない画像を使用しています。
絞り開放の f/1.8 だと中央付近でもややモヤっとしたような解像感となります。本当に少しなので4200万画素の a7R III とかなら全く気にならないと思います。実際に殆どのレビュー記事ではまったくそんな指摘もなく、高解像であることを評価しています。
※現像時にシャープネスを調節してやや改善することもできます。今回はレビューのために Lr のテクスチャ、明瞭度、シャープネスを調節していない画像を使用しています。
現像時に調節できるとはいえ、ファインダーを覗いてピントを拡大して合わせる時にうーん……という印象が拭えません。
a7R IV は、ファインダーが576万画素もありピント拡大率が5.9倍 or 11.9倍となり (倍率が寸法に対してではなく面積の意味なら) 11.9倍時には殆どピクセル等倍で見えていることになります。そうなるとやはりわずかな解像度の低さが目についてしまいます。
55mm の f/1.8 という平凡なスペックに10万円という値札を考えると絞り開放からもう少し解像して欲しかったなと思います。周辺部のコマ収差も後処理で補正は難しいので光学的に補正してあると良かったと思います。
ただ、重ねて書きますが、このレンズは2013年に発売されたレンズです。当時は高画素機の a7R (初代) ですら3600万画素です。
当時としては破格の性能であったことは間違いありません。現代でも a7 IV (3300万画素) などであればボケも美しく開放から抜群の性能と言えますね。
まとめ
この記事を書くためにデータを確認したり見返してみるといいレンズであることは疑いようがないと思います。ZEISS のロゴも所有欲を掻き立てます。
また改めてボケの美しさや雰囲気は凄く良いです。解像度も高画素機以外では必要十分な性能です。
ただ、価格設定が高いのでおいそれとオススメはできないです。
キャッシュバックキャンペーン併用で5~6万円であれば、現代でも間違いなくイチオシの標準単焦点として薦められます。ただ、倍近くしますからね。
私は、ファインダーで覗いた時にどうしてもボヤッと感じてしまいハマりませんでした。
撮影時にピントを DMF でピントを拡大した時「これでピント合ってるの?」となってしまい撮影時が楽しくなく全然使わなくなってしまいました。出てくる画像は魅力的なものもあっただけに残念です。
AF でパシパシと撮るような方なら AF も速くて正確なので気持ちよく撮れると思いますよ!
結局合計で2,000枚足らずしか撮らず売ってしまったので出せる作例も殆どなく簡単なレビューとなりました。
玉ボケとかも作例があればいいのですが全然なくすみません。
レビューを書いていて売ってしまったのが少し惜しくなりましたが、代わりに購入したレンズがとても素晴らしい光学性能だったので良しとします!
以上、他の方のレビューとは違いやや辛辣な評価となりましたが参考になれば幸いです。
ギャラリー
以下、数少ない作例です。シャープネスなども調節しています。
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