SELP18105G (E PZ 18-105mm F4 G OSS) を3年使ったのでレビューします!

SONY の APS-C カメラ用の便利ズームに SELP18105G (E PZ 18-105mm F4 G OSS) があります。

このレンズは、焦点距離が 18~105mm までインナーズーム (ズームした時にレンズ長が変化しない) で変化させることができ、どの焦点距離でも開放絞りは f/4.0 というとても使い勝手が良いレンズです。さらに、レンズ内光学手振れ補正 (Optical Steady Shot) を搭載した高性能ライン (G レンズ) とかなり欲張り仕様です。
これだけの仕様なのに実売5万円強と手を出しやすい価格も魅力の一つです。

今回は、3年ほどこのレンズを愛用したのでレビューをしていきたいと思います。
とてもおススメできるレンズですので、購入を検討されている方の背中を押せるようになると嬉しいです。

広角から望遠までこのレンズ1本で全て対応!

このレンズの一つ目の大きな利点は、焦点距離がワイド端で 18mm、テレ端で 105mm と非常に広いことがあります。
数値で言われても困ると思うので、それぞれの領域で撮った写真を以下にまとめます。これだけ色々な画角が開放絞り値が変わらず使えるのは便利すぎます!

解像度も便利ズームとは思えないほど十分な性能があります。
単焦点ほどではないですが、十分に満足できる画質だと思います。開放の f/4.0 でちょっと解像度が低い気がしますが、f/5.6 ~ f/8.0 くらいはとても良いです。

広角領域

ワイド端で 18mm (= フルサイズ換算 27mm 相当) というスマホでお馴染みの画角が使えます。この画角では、目の前に広がる景色の多くを写真に収めることができます。

ただ、18mm だとちょっと解像度が落ちるように感じる (DXOMARK のデータ上は差はないです) ので、19mm や 20mm くらいで使うことも多いです。

ILCE-6300, 18mm, f/11, 4sec, ISO200 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
18mm, f/11, 4sec, ISO200
ILCE-6300, 20mm, f/5, 1/13sec, ISO400 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
20mm, f/5, 1/13sec, ISO400
ILCE-6300, 18mm, f/5.6, 1/500sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
18mm, f/5.6, 1/500sec, ISO100
ILCE-6300, 19mm, f/8, 1/250sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
19mm, f/8, 1/250sec, ISO100

1枚目と3枚目を 540% くらいに拡大した画像が以下です。(拡大後の解像度は 2400×1600 です)
※重くなりすぎてしまうので PNG ではなく JPEG のため、実際より少し細部が潰れているかもしれません。

細部まで非常に詳細に描画できていることが分かります。看板の木目やお城の屋根のレンガまで見事に確認できますね。

1枚目の中央付近の看板
3枚目のお城の屋根部分

標準領域

少し焦点距離を伸ばして、25~40mm くらいで使えば、標準画角 (フルサイズ換算の 50mm 前後) となり、ぱっと目についたものを狙って撮るような画角になります。
私は、この焦点距離だと単焦点の Sigma 30mm F1.4 DC DN | Contemporary があるので使用頻度はあまり高くないですが、家族の写真などはこの辺りの画角が便利に使えるかなーと思います。

ILCE-6300, 30mm, f/5.6, 1/160sec, ISO400 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
30mm, f/5.6, 1/160sec, ISO400
ILCE-6300, 34mm, f/4, 1/2000sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
34mm, f/4, 1/2000sec, ISO100
ILCE-6300, 37mm, f/5, 1/160sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
37mm, f/5, 1/160sec, ISO100
ILCE-6300, 40mm, f/7.1, 1/250sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
40mm, f/7.1, 1/250sec, ISO100

こちらは、2枚目と3枚目を 540% くらいに拡大しました。(拡大後の解像度は 2400×1600 です)
※重くなりすぎてしまうので PNG ではなく JPEG のため、実際より少し細部が潰れているかもしれません。

桜の花の雄しべや雌しべがはっきりと確認できます。3枚目の方ではピント位置の右目は、虹彩が見えるほどよく解像しています。

2枚目の中央付近の桜の花の拡大
3枚目の右目の拡大

中望遠~望遠領域

40~50mm (フルサイズ換算で 60~80mm) を超えるような焦点距離になってくると、遠くの被写体をぐっと引き寄せることができ、圧縮効果も見えはじめて望遠らしい写真になってきます。また、ボケ量も増えてくるので、圧縮効果とあわせてスマホでは撮れない写真が増えてきます。
レンズ交換式カメラの楽しさの一つでもあります。これがスマホ並みの広角から1本のレンズで使えるのですから凄く助かります。

以下は遠くの被写体を大きく映して、更に背景も適度にぼかすことができます。
動物・鳥や木の上の葉・花など、近寄りたくても近付けない場面も多く、テレ端 105mm (フルサイズ換算 157.5mm) は非常に頼もしい限りです。

ILCE-6300, 81mm, f/5.6, 1/160sec, ISO400 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
81mm, f/5.6, 1/160sec, ISO400
ILCE-6300, 105mm, f/5.6, 1/250sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
105mm, f/5.6, 1/250sec, ISO100

圧縮効果でスマホと違う印象の写真や被写体の歪みが少なくなって料理や商品撮影にも適しています。

ILCE-6300, 55mm, f/6.3, 1/160sec, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
55mm, f/6.3, 1/160sec, ISO100
ILCE-6300, 68mm, f/5.6, 1/50sec, ISO1600 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
68mm, f/5.6, 1/50sec, ISO1600

最後は、1枚目と3枚目の拡大写真を載せておきます。拡大率は、540% くらいです。(拡大後の解像度は 2400×1600 です)
※重くなりすぎてしまうので PNG ではなく JPEG のため、実際より少し細部が潰れているかもしれません。

鳥の羽や橋に書かれた文字などが鮮明に確認できます。
広角から望遠までどこでも十分な解像性能を持っていることが分かりますね!

動画の手振れ補正が秀逸!

レンズ内に光学手振れ補正機構が組み込まれており、その効きがかなり良いのでぜひ確認していただきたいです。
手振れ補正ありきでレンズを選んでいるので狙い通りですが、ここまでとは想定以上でした!

次の動画は、焦点距離を 60mm ほどに設定して、カメラボディ α6300 (カメラ内蔵の手振れ補正は無し) で立った状態で手持ち撮影したものです。
木漏れ日から桜の木、老夫婦へとパン (ティルト) していきますが、大きな手振れは十分に補正されています。(速度が一定でないのはご勘弁ください)

老夫婦と桜をフレーミングしている際には、カメラを固定しているかのような安定感があります。これだけ補正が効いていれば 105mm などの焦点距離でも手持ちでなんとかなってしまうと思います。
手振れ補正がないと 30mm とかでも細かな手振れがずーっと続いてとても気持ちの悪くなる映像になります(笑)
DaVinci Resolve などの編集ソフトで手振れ補正が後から掛けられますが、少しクロップされてしまいますし、手振れが大きいと気持ち悪い補正のされ方になります。光学手振れ補正されたものを更に DaVinci Resolve などで補正するとピタッと止まってくれます。

ただし、回転方向や軸ズレの補正は当たり前ですができませんのでこれらはカメラボディ内の補正が必要となります。レンズが、回転しても意味ないですからね。

Sony SELP18105G (手振れ補正有り) を 60mm ほどの焦点距離で手持ち撮影した映像

以下の映像は、56mm の手振れ補正がない単焦点レンズで撮影した映像です。こちらは、椅子に座って体をできるだけ固定した状態で撮影していますが、微振動がどうしても抑えられません。DaVinci Resolve などでソフトウェア的に手振れ補正を掛けることも可能ですが、光学手振れ補正の自然さには全く及びません。(所謂コンニャク現象で歪んで気持ち悪くなります)

Sigma 56mm F1.4 DC DN | Contemporary (手振れ補正なし) で手持ち撮影した映像

私が持っているカメラボディの α6300 は、カメラ内蔵の手振れ補正がないので回転ブレなどには対応できません。しかし、α6500 / α6600 や α7 シリーズなどのようにボディ内手振れ補正機構があればもっとスムーズな動画撮影が手持ちで可能になります。

電動ズームを利用した微速ズームが便利!

ズームした時にレンズの全長が変化しないインナーズーム方式を採用しています。私は、どうしてもレンズ長が変化するレンズが (見た目が嫌いなため) 受け入れらません。ズームレンズ選びでは絶対に外せない条件の一つです。
動画を撮る際にジンバルを使う場合には、全長が変化せず重心変化が少なく (内部のレンズ群は動くので重心は微妙に変わります) 都合がいいという利点もあります。

また、電動ズームでズームレバーも搭載されます。スチル派の方には、ズームが遅いと不評みたいですが、これはいいですよ!
急いでズーミングが必要な場合には不便かもしれませんが、私には十分でした。

この電動ズームは、ズームレバーを使うともの凄くゆっくりとした速度でズームインやズームアウトを行うことが可能です。動画で徐々に被写体に寄っていったり、逆に寄りから全体像に滑らかに切り替えられます。

ズームレバーを使った微速ズーム

急いで焦点距離を変えたい時には、ズームリングを回すとそこそこの速度で焦点距離を変えられます。ズームレンズは無限に回ります。

このレンズ一本で動画撮影は全然困らない!

ちょうどお茶の時期なので、実家で作っている農薬・除草剤・化学肥料不使用のお茶の製茶作業を動画にまとめました。
カメラ内手振れ補正の無い a6300 に装着して、ジンバル無しの手持ち撮影でもしっかりと構えて撮ればかなりいい感じで撮れます。たまにガクッと動いちゃったりしますが、微振動が見事に抑えられていますし、電動ズームによる滑らかなズーミングもいい仕事してくれます。

4K なので、ぜひ大きなディスプレイでご覧ください!(笑)

最後の方でお茶を棒状に成形する機械 (精揉機) の動作音がガッチャコン…ガッチャコン…ととてもいい音なのですが、作業場の音がうるさすぎて今回は作業場の音は無音にしています。来年はちょっと考えて撮りたい気もしています。

BGM は、騒音のない世界さんというサイトからお借りしました。ありがとうございます!

見た目がカッコいい!

最後にレンズの外観についてです。
ちょっと大きいですが、見た目もなかなかカッコよくて使っているとテンションが上がります。

詳しくは、購入直後にまとめているので以下の記事をご確認ください!

以下に一部載せておきます。無駄がなく細部まで凝って作られています。
造りはしっかりしていますが、意外と軽い (427g) のもポイントかもしれません。

ILCE-6300, 85mm, f/16, 1/160s, ISO400 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
ILCE-6300, 85mm, f/8, 1/160s, ISO100 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE
ILCE-6300, 85mm, f/8, 1/160s, ISO400 | Photo by YAMAMOTO DAISUKE

ちょっとイマイチなところ

もちろん完璧なレンズではないので、イマイチなところもあります。

開放絞りが f/4 と暗い

ズーム比の大きい便利ズームなのでどうしうもありませんが、やはり開放で f/4.0 は少し暗いです。

室内などではすぐに ISO 感度が 3200 以上とかまで上がってしまいます。手振れ補正は付いていますが、動いているものを撮る場合にはシャッター速度を上げるしかないので、どうしても ISO 感度が高くなりがちです。
α6300 などの APS-C センサーでは、ISO 3200 はやはりノイズが気になります。

やはりこの辺りは、単焦点レンズが強い面ですね。適材適所です。

電池の持ちが悪くなる……気がする

電動ズームためか、手振れ補正のためか、電池の持ちが悪くなるように感じます。
単焦点レンズと同条件でテストできればいいのですが、ちょっと難しいので感覚的な話で申し訳ありません……。

単焦点レンズの場合の半分まではいかないですが、気付くと電池が減っている感じです。(このレンズにすると動画も気軽に撮れるからかもしれません)

ですので、予備の電池は2個くらいあると安心できると思います。

近接撮影が苦手

テーブル上で料理などを撮影しようとすると全然寄れなくて困ることがあるかもしれません。

最短撮影距離は、ワイド端で 0.45m、テレ端で 0.95m と料理などを撮影しようと思うと座ったままだとちょっと厳しい距離感になってきます。この半分くらいの距離まで近寄れたら最強なのに……と何度思ったことか分かりません(笑)
※最大撮影倍率は、0.11倍なので最大でも長辺寸法で 21cm くらいまでしか寄れません。A5 用紙を丁度いっぱいに写せるくらいのイメージです。

まとめ

以上、SELP18105G を3年使ったレビューでした。

とにかく使い勝手抜群のレンズですので、購入して公開することはないと思います。迷いなくおススメです!
本当にキットレンズにしてくれないかな、と思うほどの使い勝手・楽しさ・価格です!

購入前の検討記事はこちら。

購入直後のレビュー (外観チェックと使い勝手確認) は、以下の記事でまとめています。

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