アナログ回路シミュレータ「LTSpice」のススメ

こんにちは
今日はアナログ回路を設計する上でとても有用なシミュレータを紹介します

みなさん、ご存知かもしれませんがAnalogDevices社 (旧LinearTechnology社:HPは継続して運営されています) が無償で提供している「LTSpice」です





そもそも回路シミュレータとは?

回路シミュレータは実際に回路を作ってみなくてもPC上で動作確認や定数検討ができるようになるものです
勿論、回路を解析する為に必要な手法や最低限の (アナログ回路的な) 基礎知識、シミュレータの使い方について理解している必要はあります
その中でもSPICEと呼ばれるものはSimulation Program with Integrated Circuit Emphasisの略で米国で集積回路のコンピュータ解析する為に開発されました
(集積回路は英語でIntegrated Circuitで略してICです)

回路シミュレータを導入することで、例えば、DC/DCコンバータが入力電圧/出力電流に依ってどこまで連続モードで動作するのか、といったことが波形から読み取ることができます
理想的な素子で構成されている場合は計算で分かりますが、シミュレータでは現実の回路素子を色々な近似式で再現して数値計算するのでより現実に近い解析ができるようになります
事前にシミュレーションすることで部品を買って作ったのはいいけど全く使いもにならない、ということを未然に防ぐことができます
他にもあくまでシミュレーションなので素子の破壊を考える必要がなく、普通なら放熱に苦労するであろう無茶苦茶な定数設定を行うこともできます

※この例では昇降圧DC/DCの入力電圧と出力電流を変化させて出力電圧波形と入力電流波形を観測しています



LTSpiceXVIIの特徴

数あるSPICEシミュレータの中でもLTSpiceがオススメなのは、なんといっても無料で機能制限無く使用できるということです!
無料で利用できるSPICEでは素子数などに制限があるものが多く少し規模の大きい回路はシミュレーションできません
これは旧LinearTechnology社の「LT社の半導体デバイスを使った回路設計を円滑に進めて頂くことを目的」とした非常に太っ腹な方針のお陰です
すでにアナログ回路設計業界では標準的なSPICEという地位を得ています
ちなみにLTSpiceはLT社のエンジニアであるMike Engelhardtさんという方が一人で開発しているらしいです!すごいですね~

無料で利用できる以外にも回路図エディタがあるのでネットリスト(回路の繋がり・定数等を表すテキストデータ)を打ち込まなくても回路図を描くだけでシミュレーションを始めることができます
(SPICE自体は自動生成されたネットリストを元に数値解析を行います)
また、波形表示機能も優れていて回路図上で波形を見たい場所をクリックすれば波形が見れます

更に、旧LinearTechnology社のリニアICのモデルが殆ど内蔵されているのでモデル作成をしなくても使用できます
更に旧LinearTechnology社の製品情報ページにはサンプル回路のシミュレーション用ファイル(*.asc)があることが多いので手軽に試してみることができます

※一例で上のLT3580というDC/DCコンバータICのページをリンクしておきます



LTSpiceXVIIの導入方法

LTSpiceXVIIはユーザ登録など不要で手軽にインストールすることができます
以下に手順を載せますので参考にしてみて下さい

①旧LinearTechnology社のダウンロードページに行きます

②次に「LTspice(Windows 7, 8 and 10版)をダウンロード」と書かれたところをクリックします
 (MacやWindowsXP以前のOSの方はそちらを選択して下さい)

③するとユーザ登録(各種アップデートの連絡などがメールで来るようになる)するかを聞かれるので必要なければ「No thanks, just download the software.」をクリックしてインストーラをダウンロードします (ユーザ登録したい方は名前やメールアドレスを入力して登録するとダウンロードできます)



④ダウンロードしたインストーラを実行してインストールをすればすぐに使えるようになります



まとめ

以上でLTSpiceXVIIの紹介と導入方法は終わりです
簡単に無料で導入できてとても使い勝手が良いのでアナログ回路を設計する方には必携の開発ツールです

これから段々と使い方の紹介記事を増やしていこうと思っています
興味のある方はまずはインストールして遊んでみて下さい


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