Sigma製「16mm F1.4 DC DN | Contemporary」の性能データが出たので光学性能を考察してみました

2017年11月に発売されたSigma製「16mm F1.4 DC DN | Contemporary」の性能データが LensTip.comさん に2018/1/22付けで公開されましたので、データを元に光学性能を考察していきたいと思います

該当ページは “Sigma C 16 mm f/1.4 DC DN” です

結論から言えば、周辺に若干の像流れがありますが非常に優れた解像度のレンズです

Sigmaの製品ページも参考にして下さい



解像度

Sigmaと言えばキレのある解像度が売りなので、解像度から見ていきましょう

まずこのグラフの見方ですが、横軸が絞り、縦軸が解像度を表しています
MTF50 [lpmm] は、白黒の平行線のコントラストが50%になる線の間隔の逆数です

MTF50の説明は、良く分かりませんよね(笑)
コントラストが50%になるというのは、明るさを黒=0%・白=100%とした時、それぞれが25%と75%になるということです
元の白黒は差が100%ですが、75%-25%=50%で半分となります
つまり、これだけ色が “にじむ” ということです

※正確には白黒の線ではなく正弦波的に明るさが変化する濃淡ですが簡略化していますので悪しからず。

そして、単位の “lpmm” は “Line Pair per mm” の略で、白黒平行線ペアが1mmの中に何組まで細かくなるとコントラスが50%になるかということを数値化しています

これらを踏まえると、
 ・f/2~f/8程度の中央の解像度は十分に高い
  おそらく、f/1.6 or f/1.7でも実用的な解像度だと思われる
 ・f/1.4やf/11~f/16では中央の解像度がそれほど高くない
 ・周辺部は絞り値に依らず殆ど同じで、それなりに解像する
ということがわかります

<f/1.4>

<f/2.8>

他のレンズで撮影した写真とMTF50の数値を比較すると、APS-C機であるα6300では70lpmm程度が等倍表示しても像のにじみなどが殆ど感じられなくなる閾値だと思います

ちなみにですが、撮影素子がフルサイズの場合は50lpmm以上あれば十分に高く素晴らしい解像度であると評価できます
しかし、撮影素子が小さいAPS-C機では50lpmmでは解像が不足しています
おおよそ、70~75lpmm以上あるとキリっとした画になります
※フルサイズもAPS-Cも2400万画素相当を前提とした場合で高画素機ほど要求が厳しくなります

細かい話は補足に記載するので参考にして下さい



色収差

次は色収差です
同じSigma | Contemporary の “30mm F1.4” では色収差がそれなりに大きかったので気になりますね

このグラフの見方は横軸が絞り値で縦軸が色収差です
chromatic aberration [%] は撮影素子の幅や高さを100%とした時の色ズレの比率です

私の感覚だと以下のような判断をしますので、絞り全域で実用上問題ないレベルで良く色収差が補正されているといえると思います
これは30mmレンズと比較してとても嬉しい改良ですね♪
(30mmはf/1.4で0.09%程度、f/2以上で0.04%程度)
 ・0.10%以上 ・・・ 色収差が気になって仕方がない
 ・0.05%以上 ・・・ 気にはならないが、高コントラスでは色収差があるのが分かる
 ・0.03%以下 ・・・ 全く分かりません (今後の高画素化したら気になるかも。。。)

※上記基準はあくまで私個人のα6300を使った場合の感覚です

良く補正されていますね!
これなら真逆光以外なら全然気にせずに使えそうです



周辺の像流れ

これは画像を見てもらえれば分かると思いますが、周辺部では像がかなり流れます
レビューでは深刻な問題ではないとしています

広角レンズなので、近景はパースで周辺が大きく歪み易く気にならないと思います
風景とかを撮る場合は気にしておいた方が無難でしょう
その分、価格とサイズを抑えていてくれていると思いますし



周辺減光

f/1.4ともなれば開放ではかなり周辺が暗くなります
f/2.8程度まで絞ればほぼ解消します

明かるい場所では現像時に補正すれば良いので深刻ではないでしょう
ただし、星空撮影では後から補正するとノイズが大きくなるので気を付けたいですね



逆光耐性

最後は逆光耐性です
先行していた30mmよりも良くなっていると聞いているのでいかがでしょうか!?

<f/1.4>

<f/8.0>

13群16枚というレンズ枚数の多さに対してゴーストは非常に良く抑えられていると思います
太陽を画面内に入れても使えそうです

また、コントラストの低下もほとんどなくとても魅力的です♪

ちなみに、30mmは派手に大きなゴーストが出たり、強い光源を中心にコントラストがかなり落ちるので、残念なところです



まとめ

以上でデータに基づいた考察は終了です

かなり良いレンズに仕上げられているという印象です
買ってもまず後悔はないといえると思います



補足

解像度の指標 “MTF50 [lpmm]” の目安についての補足です

撮影素子サイズと画素数、MTF50の関係

MTF50は本文中で記載した通り、コントラストが50%まで低下する細かさを表しました

では、あなたのお使いのカメラではいくつあれば良いのでしょうか?

①画素ピッチ

画素ピッチは撮影素子の中にセンサーがどんな間隔で並んでいるかなので、画素ピッチ [mm/px] = 撮影素子の横 (縦) 幅 [mm] / 出力画像の横 (縦) ピクセル [px] で計算できます

SONYのミラーレスだと以下のようになります

機種名 撮影素子 撮影素子幅 [mm] 撮影素子高さ [mm] 画素数 [px] 出力画像幅 [px] 出力画像高さ [px] 画素ピッチ [µm/px]
α6*00 APS-C 23.5 15.6 2400万画素 6048 4024 3.88
α7RII/III 35mmFF 35.9 24.0 4200万画素 7952 5304 4.52
α7II 35mmFF 35.9 24.0 2400万画素 6000 4000 5.99
α7SII 35mmFF 35.9 24.0 1220万画素 4240 2832 8.47

②MTF50

上記①で画素ピッチが分かりました

では、ここから必要なMTF50の値を計算していきます

1画素に白黒が交互に照射されるとすると、撮影素子全体での白黒の平行線 “ペア” 数は “画素数/2″ になります
そうすると1mm当たりのペア数は、”1/(画素ピッチ×2)” となります

つまり、画素ピッチが狭い方が高い解像性能をレンズに要求するわけです

ここで必要なMTFの値を考えますが、特殊なものを除けば1色の占める数は1個飛ばし (ベイヤー配列) なので先に記載した画素ピッチは実質的に倍になります
なので、必要なMTFの値は “1/(画素ピッチ×2×2)” です

ちなみにこのMTFの値はコントラストが100%のままでセンサーに光が届く前提なので、必要なMTF50の値はもう少し高くなります
良く見るMTF曲線で0.8 (=80%) を超えれば解像するレンズと言われるので、-6db/oct で解像度 (伝達関数の利得) 落ちるとすれば、MTF50は先ほど計算した必要なMTF値のおよそ1.6倍あればかなり良く解像するといえます
ここまでくればセンサー性能を使い切ったといえるレンズです

先ほどと同様にSONYのミラーレスで一覧にすると以下になります

機種名 画素ピッチ [µm/px] 要求されるMTF [lpmm] センサー性能を使いきれるMTF50 [lpmm]
α6*00 3.88 64.4 103.1
α7RII/III 4.52 55.3 88.5
α7II 5.99 41.7 66.8
α7SII 8.47 29.5 47.2

今の高画素時代では、50lpmm以上というのは少し甘いかもしれませんね

フルサイズでも60~65lpmm程度あれば、センサーの性能を全て引き出せるレンズといえます

APS-Cではもっと厳しくて100lpmm程度ないとセンサーの性能が引き出せないという結果です。。。
α6*00用では私の調べた限り、”Sigma 60mm F2.8 DN | Art” のf/2.8(開放)~f/4.0のレンズ中央部と今回の “Sigma 16mm F1.4 DC DN | Contemporary” のf/2.8~f/5.6のレンズ中央部が80lpmm程度以外は理想に近いレンズはありませんでした

また、α7RII/IIIはフルサイズですが高画素機なのでα6*00同様に高性能なレンズが必要です

感覚としては、後処理の加減もあるためかMTF50は計算上のMTF値の1.1~1.2倍 (α6300の場合) でも十分な解像感がありますので、上記は参考まで



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