カメラの露出のハナシ①~焦点距離とピント位置、絞りの関係について~

こんばんは。今回は写真の露出についての話です。

写真の露出、明るさは絞り・シャッター速度・ISO感度によって決まります。
そこで、まずは絞りについてまとめていきます。

望遠の大口径レンズではあれほどの大口径で光をより多く取り込めそうなのに、開放絞りでもf/5.6などと暗いですよね。
考えてみると不思議ですよね。その謎をスッキリさせていきたいと思います。

また、ピント位置によっても実は明るさが異なります。
マクロ撮影などをやられている方は実感しているかもしれません。


光の量とは?定義式は?

光の量、つまり光量Q[lm・sec]は物理的には以下の式で定義できます。

$$
Q=\int_{t_1}^{t_2}\Phi(t)dt
~~~~~~
\Phi:光束[lm]
$$

厳密には積分の形で表されますが、光束 (被写体から撮影センサーに届く光の強さ) は普通のシャッター速度であれば一定だといえるので単純に光束と時間の積と近似できます。
(スローシャッターやストロボを使ったら一定ではなくなります)

$$
Q\simeq\Phi\cdot{T}
$$

シャッター速度 (ストロボも含む) についてはまた別の記事で書きたいと思いますので、今回はシャッター速度が一定だった場合に「光束」が焦点距離と絞りでどう変わってくるのかを書いていきます。

レンズに届く光の量 (光束)

ある光源 (被写体) から発せられた光が放射状に広がって、それがレンズの絞りで決まる有効口径で受け取った光がレンズに届く光の量です。
自分で書いていても分かりにくいなーとは思いますが下の図のようなイメージです。

つまり、レンズに届く光の量は焦点距離に関わらず有効口径によってのみ決まります。
有効口径は焦点距離を絞り値で割った値です。
焦点距離=50mm、絞り値=f/2.0だったとしたら有効口径はΦ25mmです。

同じ “ある被写体が放つ光” は有効口径が大きいほど多く取り込めます。
ただ、焦点距離が延びると沢山取り込んだ光を多くの画素で分け合わないといけなくなります。

光束は面積に比例するので、光の量は有効口径の2乗に比例します。
なので、絞り値を1/√2にすると明るさが倍になります。
これが、絞り値が中途半端な数値になる根拠です。
(理系の方は逆に違和感ない数値だと思います(笑))

センサーの1画素に届く光の量

レンズに入ってくる光の量は焦点距離に依らずに有効口径でのみ決まることは分かりました。
では、センサーの1画素に届く光を考えてみるとどうでしょうか?

焦点距離と画角の関係を考えれば被写体が極端に近くない限り、焦点距離が長いほど画角が狭くなりますね。
焦点距離に反比例して写せる範囲が狭くなります。

逆にいえば、焦点距離が長くなるほど同じ光源からレンズが受け取った光を多くの画素で分け合うことになります。
どれだけ多くの画素で分け合うのかというと、写せる範囲は焦点距離に反比例するので、焦点距離の2乗に比例して多くの画素に分散されます。

従って、焦点距離が長い方が光を多く取り込まなければ同じ明るさになりません。
先ほどの話と合わせると、1画素に届く光は絞り値が同じなら同じになることが分かります。
(被写体が焦点距離に対して十分遠い場合)

ここまでのまとめ

ここで一旦、まとめます。

<結論>
焦点距離に対して被写体が十分に遠い位置にあれば、写真の明るさは絞り値の平方根の逆数に比例して明るくなる。

では、次はピント位置に対して明るさがどう変わるか考えます。

ピント位置と画角の関係

ここまでは、ピント位置が十分に遠い場合を考えました。
マクロレンズでない限り先の考え方で十分ですが、マクロ撮影の場合は画角が変化してきます。 

レンズの画角はレンズの中央を通る光は屈折しないという性質から計算できます。
仮にピントが無限遠とみなせる場合はレンズからセンサー面までの距離はほぼ焦点距離fに等しくなります。(1/D≃0となる為)

ここで、マクロ撮影などでピント位置が焦点距離に対して無視できなくなると、レンズからセンサー面までの距離が焦点距離よりも大きくなります。
すると画角は狭くなってくるので、有効口径が同じなら焦点距離が伸びた時と同じようにみえるので実効的な (明るさに対する) 絞り値が大きくなってきます。
1:1の等倍マクロ撮影ではレンズからセンサー面までの距離が 2f (焦点距離の2倍) となり、実質的な明るさは1/4まで暗くなることになります。

このようにピント位置でも画角が変わり実質的な明るさが変わります。
画角が変わるのはマクロレンズやコンデジ・スマホで近接撮影すると良く分かります。

ピント位置や絞りの関係については以下の記事をご参照下さい。

まとめ

以上、焦点距離と絞り値・ピント位置による露出の考え方でした。

センサーに届く光の強さ (光束 / 焦点距離) は、画角と有効口径で決まります。
つまり、絞り値によって決まるということです。

光の強さは絞り値の2乗に反比例するので、絞り値は半端な数字となります。
√2 (約1.4) に馴染みが無ければ露出が倍になる数値を暗記してしまっても良いでしょう。

<露出が倍になる絞り値一覧>
1.0, 1.4, 2.0, 2.8, 4, 5.6, 8.0, 11, 16, 22, 32

間違いやご指摘があれば、コメント等頂ければ幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)