【フルサイズがボケやすい!?】焦点距離と絞りのボケ量との関係を理論的にまとめました!

写真撮影に於けるボケ・・・なんとなく良い雰囲気が出て「一眼のイイカメラで撮ってるぞ!」という感じがするアレです。
一眼レフやミラーレスを使っている皆さん好きですよね?もちろん私も好きです。

でも、なぜ背景 (前景) がボケるのか理論的で数式を用いた定量的な説明をweb上で見たことがありません。
そこでこの記事ではボケの原理と理論式からボケ量を計算していこうと思います。
理屈を理解しているとどんなレンズが必要か判断できるようになってきます。


ボケとは?

端的に云えば「ピントの合っていない場所」のことを指します。
ピントは “面” ですので、”ピント面” から外れているということです。

背景がボケている写真を見るとなんとなく良い雰囲気でプロっぽい気がして楽しいです。

元々、海外では “ボケ” も “ブレ” も同様に “blur” とひとまとめだったそうです。
(ピントが外れている、ブレている、というのは良い写真に不要という風潮だったらしい)

そんな中、このボケは日本独自の表現で “ブレ” とは明確に分けて表現していました。

それが日本人がボケが好き過ぎて、現在では英語に “bokeh” という単語が追加され、写真表現の一つとして海外でも区別されて有効に利用されています。
流し撮りでの背景ブレも同じように表現として利用されていますよね。

私自身は、必要以上にボケた写真は好まないのでその場に応じて適度に絞って使っています。

ボケ量とカメラ設定の一般的な説明

では、まずは一般的に聞かれるどうすればボケるのか?という問いへの回答です。

大きく4つのポイントがあります。
いずれも変更する設定以外は全て同条件で比較した場合です。
2つ以上が同時に変わる場合はこの限りではありません。

絞り開けるとボケる

一番わかりやすいのが「絞りの値を小さくする」ことでボケが大きくなります。

単焦点レンズなどがボカしやすいのは、開放F値が低いことにあります。

左 (上) から f/2.8 、f/2.0 、f/1.6 (f/1.4で撮るつもりが間違えました(^^;) で撮影しています

望遠を使うとボケる

次も感覚的に理解されやすい「望遠レンズを使う」ことでボケやすくなります。

広角レンズでは絞りを開いても余りボケが大きくならない傾向にあり、望遠レンズでは絞り値が大きくてもボケボケの画が撮りやすい傾向にあります。

但し、これには条件があり「背景が十分に離れている場合」に限ります。

※屋内だと比較写真が撮れないので出かけた際に撮影して更新します

被写体に近付くとボケる

この辺りから意識していない方が増えてくるのではないでしょうか?
「被写体に近付く」こともボケを得やすい条件の一つです。

マクロ撮影などをしたことがある方は分かりやすいと思いますが、被写体に近付くとかなり絞ってあげないと十分な被写界深度が得られない場合が良くあります。
逆に遠景では開放で撮影しても全体にピントが合いやすいです。
(夜に遠くの夜景を手持ちで撮る場合などは開放で撮ればシャッター速度が稼げます)

(左)被写体に近付くとf/8.0ですが、かなりボケます。(右)逆に被写体が遠景だとf/1.6でも殆どボケません。

背景が被写体から離れるとボケる

最後は被写体と背景の距離です。
「被写体と背景の距離をとる」ことで背景をボカしやすい状態にできます。

ボケはピント面から外れるほど大きくなるのは感覚的にも分かると思います。

先の被写体に近付くのも、カメラから被写体までの距離と被写体から背景までの距離を “相対的に” 大きくすることと捉えることもできますね。

フルサイズの方がボケるってウソ?ホント?

これも良く聞く話ですね。

これは半分ホントで半分ウソです(笑)

良く考えてみれば、同じレンズに同じ被写体・同じ距離で撮影したらセンサーに映る光 (像) は同じになるわけ (センサーサイズは無関係) なので、小さいセンサーの方が “相対的な” ボケ量は大きく見えます。

しかし、もし同じ構図・同じ画角で撮りたいならセンサーが大きい方が焦点距離の長いより望遠なレンズが必要になるので、絞り値が同じならセンサーサイズが大きい方がボケ量は大きくなります。
(同じレンズで被写体の大きさを同じにしようと思ったらセンサーが大きい方が被写体に寄ることになるのでやはりセンサーが大きい方がボケます)

なので、この記事を見てくれている皆さんはボケができる正体を理解してよりボケを楽しんで下さいね。

APS-C機しかないのでトリミングで “APS-C相当” (左) と “マイクロフォーサーズ相当” (右) を比較しています
同じレンズならセンサーサイズが小さい方が相対的なボケの大きさは大きいですね

ボケができる仕組み

ようやく本題です(笑)

ボケができる原理を読み解いていきましょう。

ちなみにですが、上記の一般的なボケさせ方の理屈から実例を用いてとても良く分かりやすい説明をされているページがありますので以下にリンクを貼っておきます。
数式はないですが、定性的な説明がされていて気持ちがいいです。

studio9 さん – フルサイズはAPS-Cよりボケやすい!はウソだけどホントでもある理由。

レンズの法則 1/f=1/D+1/P

レンズは以下の式を満足するように作られた光学部品です。

$$
\frac{1}{f}=\frac{1}{D}+\frac{1}{P}
~~~
-(式1)
~~~
\begin{cases}
f : レンズの焦点距離 \\
D : レンズから被写体までの距離 \\
P : レンズからセンサーまでの距離
\end{cases}
$$

レンズの位置は、ピントを合わせる際に移動します。
これによりDとPを調整して被写体をセンサー上に結像させます。

被写体と背景・前景の違い

通常は被写体にピントを合わせますよね。
すると、上で記載した数式に従ってレンズの位置が決まります。
(fと(D+P)が決まっている為)

レンズ位置に対してピント面はある1面だけになるので、背景・前景はセンサー面でない位置で結像することになります。

この時にセンサー面でない位置で結像した光は直進し続けるのでセンサーに届く光は拡散されて届くことになります。前景の場合は、結像するまでの集光途中でセンサーに届きます。
点光源が拡散される大きさがいわゆる “錯乱円” です。
お察しの通り、錯乱円Cが大きければ大きいほど、良くボケます。

ボケ量の理論式を導出しよう!

ではボケ量の理論式を上記の法則から導出します。
ボケは点光源として考えれば十分なので点光源がどれだけの大きさに見えるかで判定します。

被写体までの距離をD、点光源までの距離をD’として被写体にピントが合った状態でのセンサーまでの距離をそれぞれP、P’とおきます。
また、絞りはAとしておきましょう。

ここで、レンズの絞りは、有効口径比とも呼び光を取り込める口径 (絞り羽で遮られていない光の通り道) と焦点距離の比で表されます。
f/1.0なら焦点距離と同じ直径の口径であるということです。
f/2.0ならf/1.0の半分です。直径なので絞りを倍にすると光量が1/4になります。

先ほどの式1を変形するとレンズからセンサーまでの距離Pは、以下になります。

$$
P=\left(\frac{1}{f}-\frac{1}{D}\right)^{-1}
~~~
-(式2)
$$

点光源が結像する位置P’についても同様に求められます。

しかし、点光源の結像位置P’はセンサー面にありません。
従って、結像位置からセンサーまでのズレた分だけボケます。

この時のボケ量 (錯乱円の直径C) は、絞りによる有効口径と、P’と点光源の結像位置からセンサーまでの距離(P-P’)の比、の積で求まることが先ほどの図から分かります。

$$
C=\frac{f}{A}\cdot\frac{P-P’}{P’}
~~~
-(式3)
$$

式3を式2を使って、被写体までの距離に書き換えます。

$$
C=\frac{f}{A}\cdot\frac{(D’-D)f}{(D-f)D’}
~~~
-(式4)
$$

レンズからセンサーまでの距離は被写体までの距離に比べると小さいことが多い (マクロ撮影以外) ので、DやD’はカメラから被写体までの距離と考えてOKです。
厳密にマクロ撮影まで考えるなら式2を加えて考えます。

式4だとどうすればボケが大きくなるのか分かりにくいので、右側の分数の分母・分子をD’fでそれぞれ割って整理します。

$$
C=\frac{f}{A}\cdot\frac{1-\frac{D}{D’}}{\frac{D}{f}-1}
~~~
-(式4′)
$$ $$
※式1よりピントが合っている状態ではD>fです
$$

式4’を見れば一般的に言われているボケを大きくする方法と合致します。
これでボケ量の定量的な評価ができます。

  • 絞りを開ける → Aが小さくなるのでCが大きくなる
  • 望遠を使う → fが大きくなるのでCが大きくなる
  • 被写体に近付く → Dが小さくなるのでCが大きくなる
  • 背景を遠ざける → D’が大きくなるのでCが大きくなる

ボケ量を実際に計算してみましょう!

では、ボケ量がどのように変化するのか計算してみます。

錯乱円の直径だとどの程度のボケ感か分かりにくいので、センサーサイズの縦寸法に対する比率に変換します。
(アスペクト比3:2の2400万画素だと0.025%が1画素に相当します)
・フルサイズ : 35.9×24.0mm
・APS-C   : 23.5×15.6mm

被写体を5mの位置とした時のボケ量を計算してグラフにすると以下のようになります。

数値計算例も以下に記載するのでご確認下さい。
以下は Javascript による自動計算です。



パンフォーカスについて

パンフォーカスについても記事を書いたので、参考まで。

まとめ

以上がボケに関する理屈の説明になります。

使ったことないレンズ選びなどで参考になれば幸いです。

長々書きましたが、理屈はさておき、ボケ表現を楽しみましょう♪

ボケを活かした表現なら単焦点が有利ですので、以下の記事も参考にどうぞ!

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