2018年4月に発売されたLAOWA製「9mm f/2.8 Zero-D」の性能データが LensTip.comさん に公開されていますので考察していきます。
該当ページは “Venus Optics LAOWA 9 mm f/2.8 ZERO-D” です。
以下で詳しく見ていきますが、中央の解像度が恐ろしく高く周辺光量落ちと逆光にだけ気を付ければ非常に良いレンズといえるでしょう。
(2022-02-06 追記) 2020年初めごろに購入してようやくレビュー記事を書きました!
解像度
まずは、レンズ選びの際に私が一番気にしている解像度から見ていきます。
引用:https://www.lenstip.com/529.4-Lens_review-Venus_Optics_LAOWA_9_mm_f_2.8_ZERO-D_Image_resolution.html
このグラフの見方は16mm F1.4の性能確認記事で書いたのでそちらを参考にして下さい。
数値でいえば、α6300であればおおよそ70lpmm程度以上の解像度があれば十分シャープに解像します。
これらを踏まえると、
・中央は開放f/2.8~f/5.6程度までは十分に解像する
・周辺はどの絞りでも50lpmm程度を確保しており、それなりに解像する
ということがいえそうです。
周辺の50lpmmというのは画素数が低ければ優秀な値です。
APS-Cなら1000万画素相当以下まで縮小するのであれば十分に高い解像力になりますので、等倍で見ない限りは画面全域のどの絞り値でも実用的な解像度は非常に優秀といって良いでしょう。
以下の写真はFujifilmのX-T2でテスト撮影された写真です。
開放f/2.8でも1段絞ったf/4.0でも同様に十分に解像しています。
<f/2.8>
引用:https://www.lenstip.com/529.4-Lens_review-Venus_Optics_LAOWA_9_mm_f_2.8_ZERO-D_Image_resolution.html
<f/4.0>
引用:https://www.lenstip.com/529.4-Lens_review-Venus_Optics_LAOWA_9_mm_f_2.8_ZERO-D_Image_resolution.html
画面全域でどこまでも解像する画が撮れそうですね。
色収差
続いては色収差について確認していきます。
このグラフの見方は横軸が絞り値で縦軸が色収差です。
chromatic aberration [%] は撮影素子の幅や高さを100%とした時の色ズレの比率です。
α6300を使った時の私の感覚としては以下の基準となります。
・0.10%以上 ・・・ 色収差が気になって仕方がない
・0.05%以上 ・・・ 気にはならないが、高コントラスでは色収差があるのが分かる
・0.03%以下 ・・・ 全く分かりません (今後の高画素化したら気になるかも。。。)
従って、上記グラフから開放付近では殆ど気にならない程度であることが分かります。
絞っていっても最大で0.06%程度なので等倍にした時に僅かな色付きが見られるかもしれない、という程度です。
非常に優秀ですね。
ボケの前後に色付きもなく非常に良く補正されています。
歪曲収差
製品名に “Zero-D” (Zero Distortion : 歪みゼロ) を謳っていますが実際はどうでしょうか?
結果は完全な0%とはいきませんが、-1.73%の樽型歪みで超広角9mmとしては非常に良く補正されています。
建造物などで歪曲が特別気になる被写体で無ければ現像時の補正は不要でしょう。
また、無限遠に近いピント位置で十分に絞れば歪曲収差は-1.06%に改善されるようです。
風景などでは無視して構わないレベルです。
ちなみにですが、APS-Cサイズのセンサーに於いて9mmレンズの対角画角は理論上114.9度※です。
しかし、LAOWAはこのレンズの画角を113度としており、実際の測定でも113.6度となっています。
従って、僅かに9mmよりは焦点距離が長いのでしょう。
※LensTips.comさんでは115.2度と記載されていますが、23.5mm × 15.6mm で計算すると114.9度です。113.6度はf=9.229mm、113.0度はf=9.335mmです。
周辺の像流れ
超広角レンズということで気になる方も多いと思います。
特に星景写真などを撮る場合には重要な性能です。
周辺はさすがに流れますが、Sigma 16mm F1.4 よりも良さそうです。
LenzTips.comさんには星を写した写真も載っていますが、この程度なら問題なく使えると思います。
本文では「コマ収差は特別大きくなく、星の変形も酷くない」と書かれています。
超広角レンズなので、通常の用途ではパースもあり像流れは殆ど問題とならないです。
このサイズのレンズということの方が大きいでしょう。
周辺減光
周辺減光は非常に大きいです。これは絞ってもそれほど改善されません。
レンズが非常に小さいので仕方のないことですが注意が必要でしょう。
数値的には開放f/2.8で-3.12EVと隅はかなり暗くなります。
f/5.6以上まで絞っても依然として-2EV程度明るさが落ちます。
電子接点がなく、もちろんカメラ内で自動補正もされませんのでRAWで撮影しておいて現像時に補正する必要があるかもしれませんね。
また、周辺減光を “味” として使うのも楽しみの一つになりそうです。
逆光耐性
前評判では逆光耐性が悪いということでしたが、どうでしょうか?
これはやはり逆光時には非常に気を遣うことになりそうです。
強い光源が画面内にある場合は殆ど必ずフレア・ゴーストが発生します。
<フレア>
画面の隅周辺に強い光源があると画面の大部分をフレアで潰されてしまいます。
<ゴースト>
ゴーストもとても明確に発生します。
しかし、これだけはっきりしたゴーストなら逆に撮影効果として使えそうです。
まとめ
以上、光学性能をテスト結果から定量的に考察してみました。
周辺減光と逆光耐性にだけ気を付ければ非常に良いレンズだと思います。
サイズも小さくこれだけの超広角画角が楽しめるのであれば嬉しいですね。
その他、LAOWA 9mm f/2.8 Zero-D に関する情報は以下をご確認下さい。
(2022-02-06 追記) 2020年初めごろに購入してようやくレビュー記事を書きました!
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